プログラミング教室開業「これだけは知っておきたい27の常識 (3)」

プログラミング教室開業 これだけは知っておきたい27の常識

プログラミング教室開業 これだけは知っておきたい27の常識

プログラミング教室 開業研究セミナー
プログラミング教室 開業個別相談

第3章
プログラミング教室のカリキュラムと制度について

プログラミング教室のカリキュラムと制度について (1)

カリキュラムはどうやって作る?

プログラミング教室開業の常識13

こどものお習いごとの御三家は、「英会話」「ピアノ」「スイミング」です。
「学習塾」への通学も、御三家と同レベルのシェアがあります。

こういった歴史のある教育事業では、長年培われてきたカリキュラムや指導方法がノウハウとして蓄積されてきています。
先生方はカリキュラム構築にはそれほど悩むことなく、腰を据えて指導に専念していくことができます。

その一方で、プログラミング教育の歴史は浅く、どのような順番でどのような方法で指導を行うのか、
まだまだ確立がなされていません。

そういった状況ですので、プログラミング教室の運営経験のない方、プログラミング指導の経験のない方が、
自分の力だけでカリキュラム開発を行うのは、とてもハードルが高いことだと思います。

ハードルが高いと申しますか・・・ハッキリ申し上げますと、かなり無謀な行為です。
工夫すればカリキュラムの「形」だけは作れるかもしれませんが、教育効果は・・・期待できないレベルになるでしょう。

新規開業をされる際には、当センターや他社FCサービス様のような開業支援事業者をご利用なされることをおススメいたします。

プログラミング教室での講師ミーティング

プログラミング教室での講師ミーティング

ちなみに、当センターの提供するカリキュラムは、モデル教室「未来学校プログラミング教室」にて開発しています。
教室は、関西最初(当センター調べ)のプログラミング教室として2014年に大阪市都島区に生まれました。
開設直後から数々の実証試験を行いながらの開発を継続しており、常時バージョンアップにも取り組んでいます。

プログラミング教室のカリキュラムと制度について (2)

良質なカリキュラムとは?

プログラミング教室開業の常識14

子ども向けプログラミング教育の市場は、2015年ごろから急速に拡大してきました。
プログラミング教育必修化の方針が明確になって以降、大手の教育機関が軒並みFCチェーンの構築を始めました。

各社がシェア確保を急ぐ中で、「カリキュラムの充実」という方向性にブレが生じてきているのではないか?
私個人としてはそこに大きな違和感を抱いております。

多くの教室で教えているのは、
Scratchなどのビジュアル型プログラミング(言語ではなく、画面上のブロックの移動などでプログラミングを行うこと)だけです。
そして、そこから派生してのロボット操作についてです。

プログラミング教室で教える内容

<参照>
「コエテコ」×船井総合研究所
2020年 子ども向けプログラミング教育市場調査

ビジュアル型プログラミングを否定しているわけではありません。
いわゆる「プログラミング的思考(※1)」を育むには最適なツールですし、何より子ども自身が試行錯誤をしながら、
楽しく取り組めるということが一番の魅力でもあります。
またこれから社会への導入が進むであろうノーコード/ローコード型プログラミングツールの活用には、
学習を通じて身につけた「プログラミング的思考」が役に立つこともあるでしょう。

ビジュアル型プログラミングで「プログラミング的思考(※1)」をゆっくりと育み、
そしてその後に、徐々に次のステップであるテキスト型プログラミングのスキル習得に向けて進んでいく。
そんなバランスの取れたカリキュラムを導入することが重要だと思っています。

プログラミング教室の理想のカリキュラム
プログラミング教室の理想のカリキュラム

こどもICT教育支援センター
サポート教室のカリキュラム例

これからの時代、地域のプログラミング教室は増えていきますので、保護者の比較調査の目も肥えてくるはずです。
差別化のためにも、「他教室と同じようなカリキュラム」から脱却していくことへの意識も必要だと考えています。

(※1)「プログラミング的思考」とは

子供たちが将来どのような職業に就くとしても時代を越えて普遍的に求められる「プログラミング的思考」(自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力)を育むため、小学校においては、児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動を計画的に実施することとしている。

文部科学省『学習指導要領解説』より

プログラミング教室のカリキュラムと制度について (3)

生徒の退会を防ぐための工夫とは?

プログラミング教室開業の常識15

前章にて、プログラミング教室のカリキュラムの実態についてお話をさせていただきました。

多くの教室がビジュアル型プログラミングやロボット制作を導入しているのには、それなりの理由があります。

1.講師がプログラミングができなくても、映像教材で指導を代行できる
2.制作した作品が可視できて分かりやすいので、保護者の満足が得られやすい
3.技術的なハードル・言語習得のハードルが低いので、低学年の子どもたちでも楽しく学べる

特に入会営業では、2.の保護者ウケこそが大事なポイントとなってきます。
入会者数確保を重視した場合、やはりビジュアル型プログラミング、特にロボット分野のカリキュラムを運営する意義は大きいですね。

ただ教室の安定経営に向けては、以下の数式も意識しておく必要はあります。
在籍生徒数 = 既存生徒数 + 新規生徒数 - 退会生徒数者
そして当然のごとく、教室の受講料収入は、在籍者数 × 月謝金額で決まります。

スクール経営における生徒数と収入の相関
スクール経営における生徒数と収入の相関

ビジュアル型プログラミング講座、特にロボット制作分野の最大の弱点は、
子どもたちの教室在籍年数が比較的短い、すなわち退会者が多くなる傾向も指摘されているようです。

思考力の発達している子どもの場合、数ヶ月間で色々な操作を覚えてしまい、退屈になってしまうことがあります。
また加盟チェーンによっては、ロボットに増設するツール等で教材費が徐々に膨れ上がることもあります。
早期退会が頻発している教室の場合、その原因はほぼこの2点に集約されます。

どんな事業においても、経営成功への王道はリピーターを増やすということです。
リピーターが多ければ集客コストが下がり(広告宣伝費などの経費が不要)、利益率が向上します。

このことを教育事業で例えるならば、月次の入会を増やしつつ、継続学習者も増やすことが大事です。
そのためには、生徒が学習に飽きず、継続学習をしたくなる。そんなカリキュラムを導入することが大切です。

ちなみに当センターのサポートカリキュラムでは、
Scratch(標準2年)・HTML/CSS(標準1年)・JavaScript(標準2年)・Python(標準2年)というように、
子どもたちが継続して飽きずに学習することを重視して設計いたしております。

プログラミング教室 開業研究セミナー
プログラミング教室 開業個別相談

プログラミング教室のカリキュラムと制度について (4)

生徒の早期入会のための工夫とは?

プログラミング教室開業の常識16

子どもの関心と言うのは、熱しやすく、また冷めやすいものですよね。

いや、子どもだけではなく大人も同じですかね。
わが家の押し入れには、私が数年前に急に熱を上げて集めた鉄道模型が今や放置されており、妻に怒られています。

すみません。話が脱線しました。

プログラミング教室の新規受講者の確保では、
「人の情熱は放っておくとすぐに冷めてしまう」そのことも頭に入れて準備しておく必要があります。

・友だちが通っていて楽しそうだから
・学校の授業で少し体験してみて楽しかったから
・YouTubeで見て楽しそうだったから

子どもたちの心はとても正直です。
ちょっとしたきっかけで、「プログラミングを習いたい!」という意欲が急激に膨らみます。

プログラミング教室の学習風景

大事なのはタイミングを逃さないことです。
子どもたちの意欲が膨らんだまさにその瞬間を捉え、その熱が冷めないうちに短期間で入会に結び付けるための制度作りが大切です。

そのための募集形態のポイントは二つです。

随時入学制度

月次ごとに入学者を受け入れる(毎月入学を可能にする)。

開業当初で定員に余裕がある場合は週次ごとでも構いません。
この場合、入学月の月謝計算に端数が生じてしまいますので、その分を無料にするというサービスもありですよね。

個別指導制度

個人の進度に合わせた少人数制指導を導入しましょう。
一コマの同時学習者を、講師一人につき3~6名程度とすることをおススメします。
経験の浅い講師の場合は、1~2名の定員から始めてみても良いでしょう。
各生徒のパソコンを見て回り、制作状況を見ながら指導を行いましょう。
進度の遅い子どもたちへの目配りは特に大切です。適宜声掛けをして、時には一緒に考え。丁寧な指導を行って下さい。

この2つの制度は必ず作られたほうがいいと思います。
好きな時期に入学ができる。そしていつ入学しても進度に遅れたり取り残されることがない。
そのような募集形態を採用されることをおススメします。

プログラミング教室のカリキュラムと制度について (5)

子どもたちはとても忙しい

プログラミング教室開業の常識17

もう少し学習制度についてのお話を続けます。

子どもたちに継続的に学習を続けてもらうには、通学制度の細やかなルール作りも大事になってきます。

特に、今の子どもたちは「とても忙しい」状況にあるということを認識しておきましょう。
週の大半を習いごとに費やしている子どもが大半を占めているということを理解しておきましょう。

多くの子どもたちは、学習塾に通っています。
学齢にもよりますが、一般的な学習塾では週1回~3回程度が標準的な通学回数でしょう。

またスポーツに積極的に取り組んでいる子どもたちもいます。
サッカー・野球・バスケットボール、こういった団体競技の場合は、最低でも週3回はトレーニングやゲームがあるはずです。

子どもの習いごと

子どもたちが他の習いごとや行事とプログラミング学習を両立できるよう、制度面からカバーしてあげましょう。
最低限、以下の二つの制度は用意しておくべきだと考えています。

曜日振替制度

突然の用事などで通学できなかった日を1日単位で振り替えられる。

休学制度

夏期講習など月単位での休みができるようにする。
※短期間で復学した場合には再度の入会金負担はゼロにする。

プログラミング教室のカリキュラムと制度について (6)

保護者とのコミュニケーション

プログラミング教室開業の常識18

保護者へのサポート体制の整備も忘れないようにしましょう。

・野球・サッカー・水泳などのスポーツ
・ピアノ・習字などの技芸
・英会話などの語学学習
これら多くの習いごとでは、保護者自身がわが子の上達を明確に把握することができます。

しかしプログラミング教育では、プログラミング経験のない保護者が大半を占めます。
そのため保護者にとっては、わが子のスキルが上達しているのか/上達していないのか、把握しづらいという特性があります。

保護者に子どもたちの成長を理解していただくために、何らかの仕組みを意図的に作っておく必要があります。


いくつかの事例を紹介しておきます。
すべてを取り入れる必要はありませんが、教室ごとの事情に合わせて取り入れてみてはいかがでしょうか。

< 取り組みの事例 >

保護者との対話

・対面での面談
・電話での会話
・SNSでの会話
・オンラインでの会話

授業見学会

保護者と子どもの共同制作など

発表会

子どもによる制作作品のプレゼンなど

コンテストへの参加

外部団体が主催するコンテストへの参加など

コンテスト入賞

保護者の信頼を得ることは、生徒の退会率を抑え、そして在籍期間を長く保つために、決して欠かせない要素です。
プログラミング教室だけでなく、子ども向けの各種教室では、保護者サポートへも全力で取り組みたいものですね。

プログラミング教室 開業研究セミナー
プログラミング教室 開業個別相談

  • 人気の習いごととプログラミング教室の違い
    人気の習いごととプログラミング教室の違い こどもの習いごとランキング 「小学生に人気の習いごと」と聞くと、どんな分野を想像しますでしょうか? 学研教育総合研究所の『小学生の日常生活・学習に関する調査(2023年10月)』 …続きを読む
  • 大学入学共通テスト「情報」に使う疑似言語のまとめ
    大学入学共通テスト「情報」に使う疑似言語のまとめ 大学入学共通テスト「情報」に出題されているプログラミング問題は、擬似言語を使います。プログラミング教室の授業ではJavaScriptやPythonなどの言語を使いますが、 …続きを読む
  • Scratchの拡張機能「ペン」
    Scratchの拡張機能「ペン」 プログラミング教室でScratchを使うのが当たり前のようになってきました。 どの教室もScratchを使っています。ゲームを作ったり、音楽を作ったり、こどもたちはプログラミングの楽しさ …続きを読む
  • SNS集客について考えてみる
    SNS集客について考えてみる SNS集客についてのお問い合わせをよくいただきます。これだけSNSが普及してくると、オーナーの皆さまが関心を持たれるのは当然ですよね。 SNSは、一般的に使う分には無料でもありますので、「お …続きを読む
  • レンタルスペース(貸会議室など)での教室開業は可能でしょうか?
    レンタルスペース(貸会議室など)での教室開業は可能でしょうか? 「レンタルスペースでもプログラミング教室は開業できますか?」 最近このようなお問い合わせが急増してきました。 ・副業や不動産投資の一環として、レンタルスペー …続きを読む
  • IT資格は本当に必要ですか?
    IT資格は本当に必要ですか? 今年最後の投稿となります。今回はIT資格の話です。 塾生の保護者から資格の相談を受けています。将来のこどもの就職を意識して、いまプログラミングを習わせている保護者が多いと思います。「IT資格 …続きを読む
  • 高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ⑥
    高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ⑥ シリーズ「高校『情報I』からみるプログラミングの考え方」は、今回が最終回となります。いままでアルゴリズムの考え方やデータの保存に使われる配列を説明しました。最終回は、関数 …続きを読む
  • 見学来校者とのトーク内容について考える
    見学来校者とのトーク内容について考える 今日は、生徒募集時のお客様とのトーク内容について考えていきたいと思います。 顧客のニードとは いきなり本題から逸れてしまいますが、お許し下さい。 「もしあなたが今から車を購入すると …続きを読む
  • 教室ご紹介 こどもICTかつしか教室 様
    東京都葛飾区のプログラミング教室「こどもICTかつしか教室」様です。 企業のWEBシステム開発やECサイト制作を手がける現役プログラマーが、お子様一人ひとりの学習速度にあわせて丁寧にサポートします。 一人ひとりのお子様に …続きを読む
  • 高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ⑤
    高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ⑤ 前回、配列を説明しました。 配列は複数のデータを保管するためによく使われます。しかし、セットとなっているデータを保管するときには、どうすればいいのでしょうか? その時は、 …続きを読む
  • 高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ④
    高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ④ プログラミングを学ぶと、データの処理を必ず学ばなければなりません。データの保持やデータの更新など、実際のプログラムではよくあることです。データを保管する場所としては、「変 …続きを読む
  • 生徒募集を安定化させる行動計画とは
    生徒募集を安定化させる行動計画とは 今日は久しぶりに教室集客のお話です。 もうすぐ夏休みです。春季に続く募集ピークである秋季に向け、集客の計画はしっかりと立てられていますでしょうか? 小規模なお教室の場合、日頃の業務に追 …続きを読む
  • 高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ③
    高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ③ 前回、線形探索の考え方とプログラムを紹介しました。しかし線形探索は探したいデータの場所により時間がかかってしまう弱点があります。今回、高校「情報I」の教科書で紹介されてい …続きを読む
  • 高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ②
    高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ② 前回、高校「情報I」の教科書で紹介されたアルゴリズムを九九の5の段の制作を通して紹介しました。今回は、もう1つ「アルゴリズム」を紹介します。アルゴリズムの定番とも言える「 …続きを読む
  • 「なぜ習う?」プログラミング – 保護者の意識を理解しましょう –
    「なぜ習う?」プログラミング – 保護者の意識を理解しましょう – なぜテレビを買うのですか? 「あなた家のリビングには、なぜテレビがあるのですか?」いきなりの質問でごめんなさい。 皆さまの中で、 …続きを読む
  • 高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ①
    高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ① 高校「情報I」の教科書にアルゴリズムの内容について触れられています。出版社によって多少内容の違いがありますが、学習ポイントは同じです。今回は、その「アルゴリズム」について …続きを読む
  • ChatGPTのプログラミング力
    ChatGPTのプログラミング力 最近話題になっているChatGPTをもう試しましたか? ChatGPTはOpenAIが開発した大規模言語モデルであり、自然言語処理の分野でさまざまなタスクをこなすことができます。たとえば …続きを読む
  • 「先生」と呼ばれること(続き)
    「先生」と呼ばれること(続き) 前回のコラムをもう少し掘り下げたいと思います。「傲慢な先生」にならないために、先生方に認識していただきたいことを、私なりにまとめてみました。 「こどものスキルが伸びない」というケースでの思 …続きを読む
プログラミング教室 開業研究セミナー
プログラミング教室 開業個別相談