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春期の体験レッスン実施に向けて

春期の体験レッスン実施に向けて

子ども向けの各種のお教室様にとって、春期(特に3月~4月にかけて)は一番大切な募集期となります。
進級、進学をきっかけに、新しい習いごとを検討しようという機運が高まる時期ですので、このタイミングでの募集営業の強化は経営安定化のためにとても重要となります。

春期募集の強化に向けて導入できる営業施策はいくつもありますが、今回は地域での「体験レッスン会の開催」ということをテーマに、その企画立案や告知方法をご提案していきたいと思います。

体験レッスンの内容設定

短期レッスンでは、「論理的思考力を高めよう」など、抽象的なPRはあまりおススメできません。
「どれぐらいの時間で」「何ができるようになる」といったゴールが分かるカリキュラム構成を心がけて下さい。
そして実際のレッスンでも、時間内で楽しく学べ、かつ達成感を必ず得られるような進行を目指しましょう。

参加人数が少ない場合には、個別指導型(1~5人程度を一人の先生が机間巡視をして指導する)が望ましいです。
しかし参加人数が多い場合には、一斉指導型(先生の指示通りに、一斉に順序正しく作業をしてもらう)で行っていただくことで、参加者全員の達成感が得られやすくなります。

子どもだけが生徒として参加するスタイルが一般的ですが、親子参加型、グループ参加型などの変則型スタイルも考えられます。

体験レッスンの期間設定

1日完結型、もしくは長くても2~3日間完結型が、春休みに実施可能な体験レッスンの期間になります。

1日完結型は、手軽ですのでより多くの参加者数が見込まれますが、その分プログラミング学習への関心度が低い方の参加も増えることは意識しておきましょう。
体験レッスンからレギュラー入学に結びつける、その営業力に自信のある先生は、こちらの形が向いていると思います。
また既に多数の生徒が入学して地域の信頼が厚い、そんな募集上のアドバンテージが大きい人気教室も、このスタイルでの開催で良いと思います。

2~3日間完結型は、他の習いごととの兼ね合いなど日程の都合で参加者数は少なくなりがちです。
しかし、プログラミングに関心の高い方が多く参加する傾向がありますので、後々参加者にレギュラー生としてご入学していただける確率は上がります。
地域での教室の信頼度が醸成されていない新規教室や、営業力に自信のない先生には、こちらのスタイルが向いているとも思います。

体験レッスンの料金

1日完結型の場合は、無料もしくは有料(ワンコイン~2000円程度)型での開催ケースが多く見られます。
「冷やかし参加」「お付き合い参加」の割合を減らしたい場合には、あえて課金型レッスンとするのも有りだと思います。

2~3日間完結型は、必ず有料での開催をおススメいたします。
「数日間たっぷり教えるけど無料」というサービス提供では、お教室のブランド価値を損ねることにもなりかねません。

体験レッスンの募集方法

【募集方法① : リーフレットの配布】

ポスティングや校門でのリーフレット配布などのオールドスタイルも活用してみましょう。
時間やマンパワーが限られる場合は、印刷から地域を指定しての配布まで一気に請け負ってくれる、オンデマンド印刷を活用する手法もあります。

また既存生徒に協力をお願いするというのも良い方法です。
保護者にリーフレットを渡しておくことで、友人のご家庭などにレッスンの開催情報が拡散されることが見込まれます。
また生徒自身が、お友達を体験レッスンに誘うという行動にも期待ができます。(ただし勧誘を強制させることは絶対にしてはいけません)

【募集方法② : リーフレットの掲示】

地域の掲示板など、多くの人に目にしていただける設備があれば活用したいものです。
スーパーマーケットやドラッグストア等で、地域住民に掲示板が開放されている店舗も増えています。
また地域の自治会などの街頭掲示板も、自由に活用できるケースが多くありますので利用を模索してみて下さい。

【募集方法③ : 地域との連携】

地域で子ども向けのイベントなどが開催される場合には、ブース出展などのコラボレーションができないか、調べてみるのも良いでしょう。
またフリーペーパーなど、地域密着型のメディアなどがあれば、有料広告を出稿してみるのも有効だと思います。
プログラミング教室は通学エリアの狭い「狭域ビジネス」ですので、地域密着型の広報戦略が効果的です。

【募集方法④ : Instagramの活用】

こちらは、日頃からInstagramアカウントをうまく運用していることが前提にはなります。
写真や動画で実際のレッスン風景や成果をシェアし、ファンを増やしておくことが大事です。
肖像権に最大限配慮しつつも、子どもたちが楽しそうにレッスンしている様子を日常的に掲載し、アカウントを育てておきましょう。
そういったアカウントにて体験レッスンを告知することは大変効果的です。

【募集方法⑤ : Facebookの活用】

最近のFacebookでは、特定の趣味や子育てに関する情報、また特定の地域での情報交換を目的とする自発的なグループが、多数作られています。
良いグループがあれば積極的に参加し、レッスン開催情報を掲載するのも有効です。
またFacebookの有料広告を活用するという方法もあります。
地域やターゲットをかなり明確に設定し、少額予算で自主運用することが可能なので、予算の限界がある小規模教室に適しています。
教育に熱心な父親層が多く活用するメディアでもありますので、親子イベントの告知などにも向いています。

【募集方法⑥ : Google広告の活用】

Google広告でも、地域やターゲットを絞り込んでの運用は可能です。
具体的なキーワード(例:子ども プログラミング、体験など)に基づいた広告を作成し、検索結果に表示させることで良い顧客層にアプローチできます。
SNSが盛んになった今では、「検索エンジンは古いもの」と認識している先生も多いと思います。
しかし教育など子育てにとって大事な情報は、最終的には検索活動→公式サイトの訪問という経路で、情報収集を行う保護者が大半を占めます。
検索エンジンでの露出強化は、教室運営にとってまだまだ重要なことだとお考え下さい。

【募集方法⑦ : 教室サイトの活用】

イベントの内容は、ご自身の教室ホームページでもしっかり告知をしていきましょう。
レッスン開催を知った保護者が、「その教室は信頼できるのか?」と下調べにてサイトに立ち寄られることも多くあります。
信頼に足りるホームページにしておくためには、講座スペック(開催日・価格・コース案内)だけを記載するのではなく、日頃行われている教育活動や、先生の指導実績・指導方針を細かく掲載し、更新しておくことも大切です。
またできれば、体験レッスン開催に際しては、その内容を詳しく紹介したLP(ランディングページ)をサイト内に作成しておきたいものです。

顧客情報の管理

レッスン予約等で得られた顧客情報はしっかりと管理しておきましょう。
プログラミング教室への入学検討のスパンは、保護者がそのレッスン内容を明確に把握しづらい(教室に子どもを通わせる価値観を感じづらい)ということもあり、ピアノやスイミングなどの他の習いごとと比べて長期化する傾向にあります。
体験レッスンから即時入学に至らなかった見込み客には、レッスン後も定期的に教室のPRをして行くことが大切です。

体験レッスンの告知時期について

「早すぎず」「遅すぎず」が大切です。具体的には、3月上旬入ってからの告知で十分だと思います。
上旬から中旬にかけて、集中的に告知施策を行っていただければ良いでしょう。

最後に


この記事を参考にしながら、地域性やご自身の教室の特性に合わせて、より一層体験レッスンのアイデアを膨らませてくださいね。
「春期募集をとことんやり切る!」という強い意志を持って、イベント運営に取り組んでいただけますと幸いでございます。

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進藤 整是

こどもICT教育支援センター 開業・運営コーディネーター

国内最大級の福祉系資格スクール経営経験20年。講座企画・募集営業・広報・IT化推進・総務などスクール経営の中核業務に精通したスペシャリスト。

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