選ばれる教室になるために

選ばれる教室になるために

保護者が教室を選ぶ基準とは

保護者がプログラミング教室を選ぶ場合、どんなことを重要な判断基準にしているのでしょうか?
先生方の大多数は何となく答えが想像できているとは思うのですが、今日はそのことを再確認していきたいと思います。

まず、プログラミング教室と類似した業種である、学習塾に関する調査結果を参考にしてみます。
「ママスタまなび」が小学生・中学生の子どもを持つ母親を対象に実施した「小学生・中学生の塾通い」に関する調査データをご紹介いたします。
参照URL: https://edtechzine.jp/article/detail/5234

小学生/中学生の保護者ともに、他の基準を大きく引き離して上位3位を独占しているのは、以下の要素となります。

①子どもと塾の雰囲気が合うか
②教室までのアクセスの良さ
③月謝・塾の費用

どうですか?先生方の肌感覚とこの調査結果は一致しているでしょうか?

この調査結果を、教室経営にどのように活かしていくのかを考えていきましょう。

①子どもと塾の雰囲気が合うか

塾の雰囲気と言われても・・・形のない要素だけに、保護者にどう伝えていくのかは難しく感じますよね。

教室に来ていただき授業を見ていただいたり、先生とお話をしてくれればお伝えはしやすいのですが、
そこに至るまでの前段階としては、動画や画像などwebをうまく活用していくことが有効かもしれません。

今の時代、webサイトやSNSを利用していないお教室様はほぼ皆無でしょう。
そこに掲載されている情報を、もう一度点検してみてください。

月謝・選択コース・開講日時などなど、通学制度の紹介だけをメディア上で掲載されているお教室様が、まだまだ多いように思われます。
それでは教室の雰囲気というのは、うまく保護者に伝わらないですよね。

<教室の紹介>
・先生方のお顔写真やプロフィールは掲載されていますか?
・先生方の日々の活動は伝えられていますか?
・先生方のご指導の方針や教育についての熱意は伝えられていますか?

<生徒の紹介>
・日々教室でどんな活動をしているのか、伝えられていますか?
・教室で何を得て、どんな感情を抱いたのか、伝えられていますか?
・どんな雰囲気で教室での時間を過ごしているのか、伝えられていますか?

こういったことを小まめに紹介していくことで、教室の雰囲気は保護者に伝わりやすくなります。

しかしこのような事項を、教室サイトなどで記事として整理し、掲載するのはなかなか難しいかも知れません。
仮に掲載できたとしても、更新の頻度は低くなりがちで、すぐに情報の鮮度が落ちてしまいます。

そこで、ブログツール(noteなども含めて)や、保護者世代が好むSNSツール(Instagram / X / Facebook)などでアーカイブを蓄積していくことをお勧めいたします。

また伝統的な手法としては、『教室だより』的な月報や週報を作成し、web上での掲載や、教室への掲示などで公開するのも良いかも知れません。

まるで扉がいつも開いているかのように、教室で行われていることがリアルに保護者に伝わればいいですよね。

※子どもの写真・動画を掲載するときは、プライバシー保護に最大限に配慮しましょう。特にお顔の掲載は、アバターで代替するなど十分に気を付けましょう。

②教室までのアクセスの良さ

「アクセスの良さ」と聞いて、真っ先に思い浮かべることは、最寄りの交通機関(駅や停留所)からの距離や所要時間だと思います。
しかしこの言葉は、もう少し広義に捉えても良いと思います。

例えばクルマが主たる移動手段である地域であれば、敷地内や近隣に駐車場が整備されてあったり、大通りから入っていきやすかったり。
そういったことも「アクセスの良さ」という判断基準に含まれるでしょう。

子どもたちが自転車移動を頻繁に行う平坦なエリアでは、駐輪のしやすさといったことも大事です。
教室前の敷地が狭く、駐輪トラブルが頻発している状況では、アクセスが良いとは言い難いですよね。

このように、地域の特性や立地条件により、「アクセスの良さ」という言葉の意味は変化します。
教室の環境に合わせて整備を行ってみてください。
案内資料に、「●●バス停すぐ」「駐輪場あります」「車で送迎していただけます」など教室の特性を記載するだけでも、保護者の安心感が得られます。

一旦開業をしてしまうとすぐに改善ができないこともあります。
これからご開業される先生方においては、物件選定の際の参考にもしてみてください。

③月謝・塾の費用

この設定に頭を悩まされるオーナー様は多いと思います。

「地域での相場感」「事業としての採算性」、主にこの2つの要素から受講料金は設定をしていく必要があります。
また講師の指導経験や、開講するコースの種別、対象学齢によっても適正価格は異なってきますので、詳細なご提案は省略させていただきます。
(お悩みの教室さまは、ぜひ当センターにご相談ください)

ここでは、教室での料金設定において、評判の低下に繋がってしまう禁則事項だけをお話しておきます。

<低価格戦略は禁物です>

近隣教室と比較し、「とにかく低価格を」という指針は好ましくないものです。
保護者の教育投資においては、「理由のない安さ」というのはあまりPR効果はありません。逆に信頼性の低下に繋がることさえあります。
さらに、利益が確保できないレベルの低価格では、教育サービスの質を維持することもできませんし、長期の経営維持にも困難をきたします。

<二重価格は違法行為です>

「今月ご入学の方は入学金無料」などのキャンペーンをよく目にします。
この戦略は、本当に「期間限定」なら違法性はありませんが、恒常的に継続しているケースも散見します。
そういった行為は、景品表示法における二重価格表示と見なされます。
教育事業者として、クリーンな経営を心がけていただきたいと思います。

またこのような値引き戦略は、「癖になってしまう」という怖さもあります。
割引を提示していないと集客ができないという不安から、いつまで経っても止められないというオーナー様の声も耳にします。
値引きをしなくても堂々と保護者にPRができるよう、日々の指導予習を怠らず、講座商品の品質をまずは高めることを意識してみてくださいね。

<不公平は徹底排除すべし>

頻繁な料金変更も好ましくありません。
特に意識しなければいけないことは、「生徒間の不公平」を発生させないことです。
同じ教室で同じ授業を受けている生徒間で、料金の差異が発生することは、絶対に避けるべきです。

また、入学時に何らかの文房具や学習器具(プログラミング教室だとマウス、USBメモリなど)を供与されている教室もありますが、そういった場合にも平等感は大切です。
Aさんは景品をもらったけれど、Bさんはもらっていない。そういう不公平感は、指導者が気付かないうちに思いがけぬ不信に繋がることもあります。

まとめ

webメディアも増え何かと口コミ全盛の時代ですが、実は保護者が「他者の声」より重視していることは、今日取り上げた3つの項目になります。
子どもたちが教室に馴染むことができて、先生方や友だちと楽しく学べること。そして家庭の経済力にも適している料金設定であること。
そのような基準が、今の時代においても重要視されていることがよくわかりますよね。

進藤 整是

こどもICT教育支援センター 運営会社代表

国内最大級の福祉系資格スクール経営経験20年。講座企画・募集営業・広報・IT化推進・総務などスクール経営の中核業務に精通したスペシャリスト。

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