経営

なぜ教室公式サイトは必要なのか?

なぜ教室公式サイトは必要なのか?

SNSの普及がとても進んでいることもあり、新規開業されるお教室様から「教室サイトは作っておくべきですか?」とのお問い合わせをよくいただくようになりました。

実際に、当センターの会員教室様以外でも、「うちはSNSだけで集客できているから」「口コミで生徒が増えているから」といった理由で、公式サイトを持たないまま運営しているお教室様は増えてきているようです。
中には、インターネットサイトなんて時代遅れ、との極端なお考えを示される先生もいらっしゃいます。

しかし、これは非常にリスクの高い選択だと私は考えています。

オムニメディアの意識とは

近年よく耳にするのは「オムニメディア戦略」という考え方です。
「オムニ」とは、ラテン語の「omnis」に由来し、「すべての」「あらゆる」という意味を持つ接頭語です。

WEBマーケティングにおいては、以下のような多くのメディアが活用できるのですが、それらを相互に連携させ、一貫したプロモーションを行うことが大切です。

  • 自社が運営するサイト(公式サイトやブログ)、
  • 他社が運営するサイト(例えばプログラミング教室の検索サイトなど)
  • SNS系メディア(Instagram、Facebook、X、LINE など)
  • 動画配信系メディア(YouTube、TikTok など)

このような多くのメディアが世に誕生することで、物品やサービスの購買に際しての、消費者の行動も多様化しています。
例えばプログラミング教室を知っていただくための経路、そして知っていただいた後の入会までの経路も、とても複雑化してきています。

<教室へのコンタクトの例>

  • 「検索エンジン」で検索→「教室サイト」に訪問→「教室サイト」内で体験会を予約
  • たまたま「Instagram」で発見→「検索エンジン」で検索→「教室サイト」内の「LINE」リンクで問い合わせ
  • 「X」でプログラミング教育は良いと聞いた→たまたま教室の前を通ったので「訪問」してみた


これらは一例ですが、保護者の行動パターンは、何百通り・何千通りにも増えています。
単一のチャンネルに依存せず、保護者のアクセスが予想されるあらゆるメディアにて、教室の存在や魅力を発信することが大切です。

教室サイトの役割とは

「オムニメディア戦略」において、その中心となるのは、やはり「教室サイト」です。
「教室サイト」は単なるオプションではなく、“情報の本拠地”であり“信頼の象徴”にしていくべきです。

役割①

教室入学を検討する最終段階において、保護者は必ずといってよいほどインターネットでその教室の検索行動を行います。
仮に「SNS」や「口コミ」「チラシ」などのツールで教室を知った場合にも、念のため「教室サイト」に立ち寄る保護者が多いことでしょう。
これまでに他のメディアを通じて得た情報を最終確認し、“申し込もう”と判断するためのより詳しい情報を整理・提供する場所、それが「教室サイト」の役割になります。

役割②

「SNS」で発信する情報は、タイムラインの流れと共にすぐに消え去る揮発的なものです。そのため保護者が後から情報を探す出す際に、とても苦労することになります。
「教室サイト」は、そういった「SNS」の欠点を完全に補える重要なツールです。具体的な情報を保護者に常時示しておくことができ、安心感を高めていただくことが可能です。

  • 教室の理念や教育方針
  • 講師紹介(顔写真、指導歴、資格など)
  • 料金体系(入会金、月謝、教材費など)
  • 対象年齢・レベル
  • レッスンスケジュール
  • 教室へのアクセス
  • 体験レッスンの案内
  • よくある質問(Q&A)

このような情報を詳しく掲載しておくことで、募集営業の機会損失につながります。
比較検討の段階で保護者が得たい情報が不足していれば、他の教室に流れてしまう可能性も高くなります。

教室サイトへの導線づくり①(他のメディアとの連携)

他のメディアに訪問したユーザーを、最終的に教室サイトへと誘導できるようにしておくこと、また逆に、「教室サイト」を訪問したユーザーに他のメディアを紹介すること。
そのような導線づくりを行っておくことが大切です。
利用するメディアを先生の好みだけで取捨選択するのではなく、各メディアの長所を生かした連携を行うことで、保護者の教室への親近感がより一層深まります。そして自然と問い合わせや申込につながる確率も高まっていきます。

Instagramとの連携

  • レッスン風景やイベント告知を画像や映像で投稿できます。またプロフィールリンクから教室サイトへ誘導することも可能です。
  • 「教室サイト」にInstagramのタイムラインを表示するウィジェットを埋め込むことも可能です。

Facebookとの連携

  • ブログ更新やキャンペーンの告知にも利用できます。
  • コメント欄を通じて保護者とのコミュニケーションの様子を常に開示しておくことができます。
  • 「教室サイト」にFacebookのタイムラインを表示するウィジェットを埋め込むことも可能です。

X(旧Twitter)との連携

  • 緊急性のあるお知らせ、一時的なキャンペーン、そして速報性のある情報を発信することに長けたツールです。
  • 「教室サイト」にXのタイムラインを表示するウィジェットを埋め込むことも可能です。

LINE(LINE公式アカウント)との連携

  • LINEは、一時的なキャンペーン告知などを除き、教室プロモーションに恒常的に使うのは難しく感じます。しかし”誰もが使っているツール”という特性を生かし。連絡ツールとして活用していくと便利です。
  • 保護者が電話番号やメールアドレスを開示することなく繋がることができことが特長です。
  • 「教室サイト」に友だち追加ボタンやQRコードを設置しておくことが可能です。

YouTubeとの連携

  • 教室紹介やレッスン動画を無料で掲載しておくことができます。
  • 「教室サイト」でフルバージョンの動画を公開、「SNS」で短縮版の動画を公開という手法でも活用ができます。
  • 途中のCMを嫌われる場合には、「Vimeo」等の代替ツールを活用することもご検討ください。

これらの事例のように、
☆ イメージ作りのためのプロモーション = 「SNS」 
☆ 教室情報の詳細 = 「教室サイト」
役割分担を明確にしておくことで、相互に強化し合う効果が得られます。

教室サイトへの導線づくり②(SEO対策)

保護者には、「SNS」の使用頻度が低く、「検索エンジン」を情報収集のためのメインのツールとされている方も、まだまだ多くいらっしゃいます。
そういう方のために、SEO対策にもしっかりと取り組んでおく必要があります。

プログラミング教室など、地域密着型ビジネスでのSEO対策の基本は「地域×内容」という検索行動に先回りしておくことです。
保護者の多くが「○○市 プログラミング教室」「△△区 プログラミングスクール」などと検索して教室を探します。
このとき、公式サイトが上位に表示されなければ、教室が存在していないのと同じことだと考えておきましょう。

  • 教室サイトのタイトルや見出し(H1、H2など)に地域名と教室内容を含める
  • 習えるプログラミング言語の種類やサービス内容、対象年齢など具体的に記載しておく
  • 定期的なブログ更新を行い、検索エンジンにアクティブなサイトとして認識させておく

こういった施策が大切です。
※SEO対策については、また改めて詳しく特集する機会を設けたいと考えています。

また、SEO対策という旧来の手法に加えて、近年ではMEOというワードもよく耳にするようになりました。
MEOとは、Googleマップなどの地図検索エンジンで、店舗情報やビジネス情報を表示させるためのWebマーケティング施策です。

「Googleビジネスプロフィール」や「Yahoo!プレイス」などに教室情報を掲載し、また「教室サイト」との紐付けもしておきましょう。
このように連携をしておくことで、「○○市 プログラミング教室」などの検索結果表示部分の上部に、教室の所在地を記した地図などが表示される機会が増えてきます。
また保護者が教室を訪れる際の、経路案内も地図アプリが行ってくれます。

まとめ

広告予算や知名度が限られている小規模教室ほど、きちんとした情報発信が重要です。
教室の公式サイトは、オンライン上での“信頼の顔”であり“申し込みへの最後の一押し”となります。
誰でも見られて、誰でも理解できて、誰でも問い合わせできる「教室サイト」を整備すること。
それがこれからの時代に選ばれる教室になるために大切なことだと考えています。

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進藤 整是

こどもICT教育支援センター 開業・運営コーディネーター

国内最大級の福祉系資格スクール経営経験20年。講座企画・募集営業・広報・IT化推進・総務などスクール経営の中核業務に精通したスペシャリスト。

プロフィール