ここが変だよ日本のプログラミング教育

ここが変だよ日本のプログラミング教育

(子どもたちに何を教える?子どもたちは何を学ぶ?)

プログラミング言語の分類

プログラミングの方法・言語について、様々な分類が試みられています。
当センターでは、大まかに以下の2つへの分類を用いています。

<分類1>ビジュアル型プログラミング

コードを書かない入門的なプログラミング手法です。
Scratchなど、画面に表示されるブロックなどを用いてコンピュータの動作を指示するタイプのものです。
広義にはこれらのプログラミングを通じて、ロボットなどの機器を操作することも含みます。

<分類2>テキスト型プログラミング

コードを書くことによる本格的なプログラミング手法です。
正しい順序・文法でコードを書くことにより、コンピュータの動作を指示するタイプのものです。
厳密にはプログラミング言語ではありませんが、HTMLやCSSのコード理解もここには含まれています。

こども向けプログラミング教室の現状

小学生向けプログラミング教室のポータルサイト『コエテコ』様の調査によると、ロボットならびにビジュアルプログラミング、すなわち私たちの定義でいう<分類1>を主たる指導内容とする教室が全体の78.1%を占めています。
その一方で、テキストによるプログラミングコードの習得、私たちの定義でいう<分類2>を指導内容とする教室は、わずか10.4%と少数に留まっている現状が浮き彫りになっています。
【参考】https://coeteco.jp/articles/11070

コラムをお読みいただいている皆さまにもご想像はいただけると思いますが、<分類1>の習得のみで、子どもたちが実社会において様々なミッションを遂行していくことは不可能です。
実社会で必要とされることは、<分類2>の分野のプログラミングスキルとなります。社会的シェアの高いプログラミング言語はJavaScript/Python/Javaなどですが、これらすべてがコード記述によりコンピュータへの指示を前提としています。

今の現状をずばり指摘するなら、日本の8割近くのプログラミング教室が、子どもたちが社会で使えないプログラミングスキルを教え続けているということになります。

水泳教室に例えるならばクロールだけを、英会話教室に例えるならば挨拶の会話だけを。そういう限定的な指導内容にも関わらず、保護者の皆さまに大きな期待を抱かせる教室運営が主流になっています。
私はここに大きな問題を感じています。

プログラミング教育とは

前項では少し意見が過激過ぎたかもしれません。ご不快にお感じになられたなら申し訳ありませんでした。
ビジュアルプログラミングの学習が、全くの無意味ではないということも説明しておきます。

プログラミング教育とは、「プログラミング的思考」と「プログラミング学習」の二つの要素で構成されています。

前者の「プログラミング的思考」とは、人が何か目的を達成しようと行動するときに、どのような動作を、どのように組み合わせ、そしてどのような順序で実行していくのかを考える力をいいます。
さらに、目的がうまく達成できなかった場合に、その要因を探り改善していく思考もそこには含まれます。

ビジュアルプログラミングの学習は、この「プログラミング的思考」を高める訓練には最適です。
コンピュータに実行させたいことがある場合、適切にアイテムを組み合わせ、さらに組み合わせの順序を考えて指示を出し、そういった論理的な思考力がしっかりと身についていきます。

ただし、「プログラミング的思考」を習得できたとしても、もう一つの要素である「プログラミング学習」の内容がビジュアルプログラミング分野にとどまっていたとすると、プログラミング教育の成果は限定的なものにならざるを得ません。
十分な「プログラミング的思考」の訓練と、社会でのキャリアアップに直結する「プログラミング学習」を組み合わせてこそ、最善のプログラミング教育が実現できます。

プログラミング教室の目指すべきこと

2020年度より、学校現場へのプログラミング学習の導入が始まりました。
そして2021年には日本における民間プログラミング教室が10000教室を突破いたしました。プログラミング学習の市場は急激な拡大を続けています。
一方で、プログラミング教育を担う講師の養成が、市場の拡大に追いついていないという現状があります。

大手のFC型プログラミング教室の多くでは、生徒が本部作成の映像教材等を教室内で「自習」し、講師がその様子を見守るといった授業形態も珍しくありません。
そして先述の通り、その授業レベルもビジュアル型プログラミング分野にとどまるケースがほとんどです。

私たちの教室運営支援サービスでは、そのような現状を大きく改善できる講師研修制度を整えております。
講師の皆さまには、ビジュアル型プログラミングだけではなく、テキスト型プログラミングもゆっくりと身につけていただける研修メニューを用意いたしております。

講師が自ら学びながら、生徒たちにも実践的なプログラミング学習の機会を提供していただくことが可能です。
特にプログラミング初心者の先生方は最初はご不安かもしれません。しかし私たちがしっかり寄り添って支援して参りますので、どうぞご安心くださいませ。

関連URL

こだわりの講師研修制度
プログラミング教室開業支援パッケージ<P-KIT>

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進藤 整是

こどもICT教育支援センター 運営会社代表

国内最大級の福祉系資格スクール経営経験20年。講座企画・募集営業・広報・IT化推進・総務などスクール経営の中核業務に精通したスペシャリスト。

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