レンタルスペース(貸会議室など)での教室開業は可能でしょうか?

レンタルスペース(貸会議室など)での教室開業は可能でしょうか?

「レンタルスペースでもプログラミング教室は開業できますか?」

最近このようなお問い合わせが急増してきました。

・副業や不動産投資の一環として、レンタルスペースが各地に増えてきたこと
・こういったレンタルスペースの利用を促進するための紹介サイトが増えてきたこと

このような社会環境の変化にて、旧来の貸会議室といった施設を含め、レンタルスペースの活用を模索するオーナー様が増えてきているようです。

結論から言いますと、固定物件以外でも、プログラミング教室の開業は可能です。
「初期投資は少なく」という小規模ビジネスの鉄則から考えても、レンタルスペースの利用というのは悪い選択肢ではないと思います。

ただし開業時には、特に保護者の安心感を得られるように、運営上で細やかな配慮をしていく必要があります。
本日の経営コラムでは、これらについて考えていきたいと思います。

固定の連絡先を開示しておく

・授業の時だけ教室に登場して、すぐに去っていく先生
・そしてどこに住んで、日ごろは何をしているのかすらわからない先生

そんな謎の人物が先生だったとすれば、保護者は安心して子どもを預けられませんよね。
まずは、そんな心配をきっちりと払拭するような工夫をしましょう。

重要点として、教室の開設時間帯以外にも、固定の連絡先を明示しておくことをおススメしています。
「本部」や「事務局」という名称で、ご自宅や運営会社の住所、電話番号、メールアドレスを開示しておきましょう。

どうしてもご住所を開示したくない場合は、「バーチャルオフィス」や「コワーキングスペース」など、住所貸しをしてくださる事業者様も存在しています。
こういった事業者様の場合は、郵便のお取次ぎというサービスが付随していることも多く安心です。
中にはその住所を利用して、法人登記までさせていただける事業者様もあります。

電話番号を開示したくない場合は、例えばIP電話を利用されることで固定電話と同じような市外局番付きの番号を新規に取得することが可能です。
ちなみにIP電話は、固定電話番号への着信時にもスマホアプリにて通話できる事業者が大半です。
外出時にも通話が可能なので、とても便利です。

またメールアドレスは、Gmail等のフリーメールではなく、独自ドメインを利用されることが信頼につながります。
教室のWebサイトを作られる際には、同時にメールアドレスの設定もきちんと行いましょう。

開催場所や日時を固定しておく

「今週は、月曜日の17時に○○○ビルで開催します」
「でも来週は、火曜日の18時に△△△ビルで開催します」

このような不安定な開催方法ですと、まず生徒募集は成功しないものとお考え下さい。

同じ場所/同じ曜日/同じ時間帯で授業を安定開催することは、教室運営の鉄則です。
安定して授業を開催するために、ご利用を検討される施設様とは、予約交渉をしっかりとされることをおススメしています。

「何曜日の何時から、□□□号室を、ずっと使いたい」といった交渉をしてみましょう。
また数か月から1年間という中長期で、定期予約をすることが可能かどうか折衝されると良いと思います。

定期利用は、レンタルスペースの運営側にも稼働率が上がりやすくなるというメリットがあります。
そのことにより、利用料金割引等の交渉も捗ることになります。

さらに折衝される際には、
・物品(パソコンやコード類)の保管をさせていただくこと
・看板や案内等の掲示をさせていただくこと
などもしっかりとお願いしてみてください。

特に物品の保管の許可は大切です。
認められない場合、先生は授業のたびに備品を持ち運ぶことになり、公共交通機関での移動が困難になります。
特に都市部での高額な駐車場代の負担は、予想外に大きな運営コスト増に繋がってしまいます。

利用時間は長めに確保しておく

スペースは、最低でも授業の前後30分程度は余分に借りておかれることをおススメします。

・パソコンなどの準備や片付けをすること
・見学に来た保護者様に対応をすること
・早めに来た生徒たちが待機できる場所を作ること
・授業が少しオーバーしても焦らず続けられること

これらに備えて、余裕を持った時間帯でのスペース確保が必要です。

授業用の部屋とは別に、利用者専用の休憩スペースやソファを設置している施設もあります。
こういったスペースがあれば、時間を気にせず保護者や生徒との談笑や、カウンセリングが可能になりますので、よりゆとりを持った運営が可能となります。

どんな施設が最適なのか

地域において、ある程度知名度の高い公共施設などを借りられればベストです。
例えば自治体や地域の自治会などが直接運営する施設などは、保護者様にも安心感があります。

地域のカルチャーセンターなどと提携されることも選択肢の一つです。
他の教育コンテンツも多く用意されている施設を利用されることで、より保護者の安心感は高まります。

こういった公共施設以外のスペースを利用される場合には、清潔感・開放感なども大切な要件です。
薄暗く狭い部屋で、子どもたちを学ばせたいという保護者は皆無です。

また民間物件を利用される場合、小さな雑居ビルの、2階以上のスペースなどは避けた方がベストです。
見ず知らずの人とエレベーターに乗り合わせるような施設では、生徒の安全確保面での心配があります。

駐車・駐輪スペースを確認しましょう

駐車スペースや駐輪スペースの有無も、確認が必要です
車での送迎を希望される保護者様、また自転車での通学を希望される生徒のために、これらの確認は必須です。

トラブルから、開催場所の変更を余儀なくされる場合もありますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

他の利用団体も確認しましょう

複数の部屋を同時に運営しているレンタルスペースでは、他の部屋でどんな団体が利用されているのかも調べておきたいものです。

・大音量を発生するような音楽グループ
・振動が発生するような舞踏やダンス
こういった団体との同時利用だと、子どもたちが集中して学習できないといった事態も発生しますので要注意です。

また同じ時間帯で、同業のプログラミング授業が行われていないかも確認しておきたいものです。
集客に影響が出ることも考えられます。

通信環境も確認しましょう

ScratchやHTML/CSS、JavaScriptという分野の授業では、Wi-Fi設備がなくても、テザリング等で補えます。
当センターの提供する動画教材はフルHD規格ですが、10Mbps程度の回線でも十分に視聴ができます。

そのためWi-Fiは必須ではありませんが、ある程度の速度が出る回線が確保できれば、子どもたちと一緒に調べごとをする時などの安心感は高まります。

子どもの欠席時の措置を考えておきましょう

プログラミング教室に限らず、子ども向けの授業を展開していくときには、代講制度の整備が重要です。
部活動や定期テスト、また健康上の理由などで、生徒が休むということを事前に想定しておきましょう。

一般的には、他の曜日や時間帯に欠席分の授業を振り替えるという措置を取るのですが、レンタルスペース等で単独の曜日のみにて開催している場合には、それが不可能なケースも想定されます。
その場合には月謝の減免なども考えておく必要があります。

また、予め月謝制ではなく回数課金制にしておくという手法もありますが、この場合は生徒の出席率が低下しがち(ちょっとしたことですぐに休む)で、収益が不安定になるというデメリットもありますので要注意です。

さらに一般的な注意事項ですが、授業時間直前に、保護者からの連絡を確実に受信できる環境も整備しましょう。
特に健康不安での欠席の場合は、授業の直前に連絡が入ることが大半です。
その場合に連絡が繋がらないとなると、保護者はとても不安になります。
先生のモバイルの電話番号を開示するか、専用のLINEアカウントを設けておくなどの手段を考えておきましょう。

最後に

保護者の信頼を強固にするために、やはり最終的には固定物件での運営を目指していただきたいと思います。

移行に向けてのタイミングを見計らうためにも、毎月の収支計算は緻密に行っておくことが大事です。
月々のスペース利用料が固定家賃の相場に近付いてきた時期が、移転を検討されるベストなタイミングであるとお考え下さい。

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進藤 整是

こどもICT教育支援センター 運営会社代表

国内最大級の福祉系資格スクール経営経験20年。講座企画・募集営業・広報・IT化推進・総務などスクール経営の中核業務に精通したスペシャリスト。

プロフィール