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IT資格は本当に必要ですか?

IT資格は本当に必要ですか?

今年最後の投稿となります。今回はIT資格の話です。

塾生の保護者から資格の相談を受けています。将来のこどもの就職を意識して、いまプログラミングを習わせている保護者が多いと思います。
「IT資格、またはプログラミング資格は本当に必要なのか?」「どんな資格を取ったほうがいいでしょうか?」とよく聞かれます。

結論からいうと、資格は、必ず必要とは言えませんが、取る価値はあります。
その理由を説明するために、以下の質問について考えてみましょう。

1.資格を取る目的は何でしょうか?
2.資格を取るためのコスト(時間・体力など)と価値は何でしょうか?
3.自分は何のIT資格を取ったらいいですか?

資格取得の目的

そもそもなぜ資格を取ろうとしているのでしょうか?
基本的には、以下の3つの理由が考えられます。
・将来の就職のため
・自分の技術のレベルを知る、または高めるため
・なんとなく

1つ目の理由は就職です。すごくまっとうな考えです。しかし、プログラミングの場合、実績があれば、資格がなくても、不利になることはありません。
しかし、多くのIT専攻の学生は開発の実績がないので、採用側からみると、学校や塾で作った卒業課題や自由課題と資格の有無以外に、判断できる素材がありません。
しかし、いまはプログラミングを学ぶこどもがどんどん増えてきて、こどもの中には、本格的な開発を行う方も現れます。
開発の実績がある生徒なら、私はどの資格よりもその実績が有利になると思います。
資格はあくまでもその知識を持っている証明です。本人の開発実力を証明するものではありません。そういう意味では、IT資格が必ずしも必要なものではありません。
その代わりに、あなたの本当の実力を証明できる何かを開発したほうがいいのではないかと思います。

2つ目の理由は自分の現在の技術レベルを知る、またはさらに高めるためです。これは非常に有意義な学習目的となります。
資格を取ること自体を目的にせず、自分の技術レベルを測るもの、自分の技術を拡張するものとしています。これは学生にとって最も理想的なスタイルだと私は思います。
資格は不要という単純な話ではなく、資格の勉強を通して自分の足りないことがわかり、それを次の学びにつなげることができます。目標があり、成果もあり、成功体験をどんどん積んで、気づいたら資格も取れています。 3つ目の理由はなんとなく、もしくは親に言われたからです。
あまり自分から勉強しようとも思っていないので、興味のない資格を時間をかけて勉強してもうまく行かないことが多いです。
これなら、資格のための勉強より、もっと自分のやりたいことに時間を使ってほしいものです。

資格取得のコストと価値

資格を取るには時間や、労力がかかります。特にIT関係、プログラミング関係の資格になると、プログラミングは技能なので、暗記だけでは問題が解けるものではありません。
繰り返して練習する時間が必要です。IT資格を取るにはやはり半年から1年ぐらいかかると最初から見積もるべきです。

中高生の場合、学校の勉強やテストがあります。また中3の場合は高校受験、高3の場合は大学受験があります。それらの勉強もかなり時間が必要なので、同時にIT資格をとろうとすると、なかなか時間的には難しいです。
ですので、もし資格を取るなら、中1と中2、高1と高2がベストなタイミングです。
すでにプログラミングを学んでいる方なら、3ヵ月〜半年ぐらい頑張れば、基礎レベルのIT資格を取ることができます。時間をちゃんと確保し、計画して勉強すれば、合格はできます。

もし時間や余裕があまりないなら、今はIT系の資格取りをやめたほうがいいと思います。例えば大学に入って余裕ができたら、その時取るということでもいいです。まずは学校の勉強をしっかりできるようにしてください。前の項目でも話したように、これからの時代は資格が必ずしも必要なものではありません。資格があれば就職が有利というような過信はしてはいけません。 しかし、コストばかりを考えたら何もできないじゃないかと言われるかもしれません。実は、資格取得のメリットもたくさんあります。
私が最も価値を感じているのが、その資格勉強の過程で得られる技能以外の知識のことです。
私の塾は、本格的な開発技能を教えています。しかし、開発技能以外の知識(例えば、ネットワークの知識、セキュリティの対策など)は生徒はあまり学べていません。
確かに、開発技能があれば、何でも作れますが、技能以外の知識が足りないと、視野が狭くなり、開発したものも実用に耐えられない可能性があります。だから、私は塾生に資格の取得をおすすめしています。
資格の勉強はそれを補うことができます。開発の技能とIT知識を両方習得することで、はじめてプロの開発者になれると私は思います。そういう視点からみると、IT資格を取る価値が十分あります。

どんなIT資格を取るのがいいのでしょうか?

人が持っているから、自分も取らないといけないことはありません。自分に必要な資格を見つけてください。自分に必要な資格、またはプラスになる資格を取ってください。

自分に必要な資格って、どんな資格でしょうか?
それは、あなたのやりたいことで決まります。ゲームを作りたいなら、CGや映像関係の資格、色の資格、ゲーム制作に使われているプログラミング言語の資格を取るべきです。
システム開発をしたいなら、基本情報技術者試験の資格、セキュリティ関係の資格、データベース関係の資格、システム開発に使われているプログラミング言語の資格を取るべきです。
もしウェブデザイナーになりたいなら、ウェブ関係の資格、色の資格、デザインの資格を取るべきです。自分のやりたいことから取るべき資格を決めます。

では、プラスになる資格って、どんな資格でしょうか?
同世代の方が持っているIT資格より少しレベルが高いものと思ってください。
例えば、MicrosoftのOfficeをご存知だと思います。OfficeのWordの資格があります。Wordは資料を作るためのソフトです。使いこなせばきれいな資料を作れます。しかし、実際の仕事ではおそらくきれいな資料よりわかりやすい内容を書けることが求められます。Wordの基本の操作さえできれば十分です。
別にWordの資格を持っているので特別扱いされることはほとんどないと思います。つまり、Wordの資格は本当に普通の資格にすぎないといえます。

同じOfficeの中に、Excelの資格もあります。Excelは表を作るソフトです。学校では普段あまり使われないので、できない人が多いです。
簡単な表を作れるとしても、ちょっとしたマグロや関数が使えない人がすごく多いです。もしWordかExcelかの資格を取ると考えているなら、私はExcelの資格をおすすめします。
なぜなら、Excelの資格はWordの資格より難しく、プラスになる資格だからです。

プラスになる資格は、難しい資格、レベルが高い等級の資格ばかりを選ぶという意味ではなく、本当に将来進学や仕事に役に立つ資格を選んでほしいです。
例えば、中高生なら、ITパスポート試験という国家資格を取ってみるのがいいと思います。
また、最近人工知能の活用が多くの企業で行われているようになりました。企業にとっては、人工知能の基礎知識を持つ人がほしい状況です。
そんなとき、人工知能によく使われているプログラミング言語Pythonの資格もいいです。
もう少し頑張れば、G検定という人工知能関連の資格もあります。これらの資格は将来、自分が有利になる可能性を高めてくれます。

まとめ

資格は必ずしも必要ではありません。しかし、その資格の学びが、皆さんのプログラミング学習、また今後の開発に必ず役に立ちます。

もうすぐ2024年になります。IT資格の取得を新しい一年の目標に入れてはいかがでしょうか?
ぜひチャレンジしてください。

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中山 涼一

こどもICT教育支援センター センター長

2014年に関西初のこども向けプログラミング教室「未来学校プログラミング教室」を創設。800名以上の指導実績を誇るプログラミング教育のスペシャリスト。

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