教材経営

プログラミング授業をオンラインで実施できますか?

プログラミング授業をオンラインで実施できますか?

開講セミナーでよくこの質問が飛び出します。
コロナが猛威を振るっている今、オンライン授業の可能性を検討する教室が増えています。
結論からいうと、もちろんプログラミング授業をオンラインで開講することができます。
しかし、プログラミングの授業は進学塾のような一斉授業はできませんので、一人ひとりのプログラムを見て指導しなければなりません。
そのため、プログラミングのオンライン授業を始める前に「通常の対面授業との違い」そして「オンライン授業の問題点とその解決方法」を理解しなければなりません。

対面授業オンライン授業の違い

対面授業は特に説明する必要はないと思います。
教室で講師と生徒が対面で授業を進めます。

オンライン授業は、現在ZoomなどのWebミーティングのツールを使って授業を展開する教室が多いと思います。
私のプログラミング教室でもZoomを使っています。
授業でよく使われているZoomには大きな2つの機能があります。
1つは画面共有機能、もう1つはブレイクアウトルームです。

画面共有機能は、講師側の画面を共有し、参加されている生徒全員に資料を見せることができます。
さらに、資料の上に書き込むことも可能です。とても便利な機能です。
この画面共有機能は、ホスト側が必要に応じて、ホストのみ共有できるか、参加者も共有できるか、1人のみ共有できるか、複数の方が同時に共有できるか、を設定できます。
私の場合は、複数の参加者が共有できるように設定しています。

ブレイクアウトルームは、指定した方を個別の部屋に移動させ、そこで個別指導することができます。
私はこの機能はほとんど使っていません。

では「対面授業」と「オンライン授業」それぞれの長所と短所を見てみましょう。

対面授業の長所
① 生徒の反応を直接みることができるので、生徒の理解状況がわかりやすい
② 生徒に個別指導する際に、話したり、書いたり、対応しやすい
③ 生徒のモチベーションを高めやすい
④ 生徒同士が友達になり、お互いに教え合うことが可能

対面授業の短所
① 生徒にとって、通塾するための時間や交通費などの負担が発生する
② 振替授業の時間調整が大変なときがある

オンライン授業の長所
① 通塾の必要がなくなるので、自宅から気軽に授業に参加できる
② 振替授業の調整がしやすくなる
③ チャットができるので、しゃべるのが苦手な生徒でも交流できる

オンライン授業の短所
① オンライン授業を受けるための機器やネット環境が必要
② それぞれの生徒の制作画面を見るのに切替が必要(時間ロス)
③ 生徒の画面を自由に見ることができない(生徒に操作してもらう必要がある)
④ 画面に書き込みができますが、マウスだと不便

以上が、私が今までプログラミング授業を運営、オンライン授業を実施して感じた両者の長所と短所です。

これから開講を検討している方はどちらがスタートしやすい?

対面授業です。

初めてプログラミング授業を開講する場合、不安な方が多いです。
不安の理由もいろいろあります。
例えば、

  • プログラミングの知識がまだ豊富ではないので、教えるにはまだ自信がない…
  • プログラミングはある程度理解はしていますが、プログラミングを教えたことがないので、生徒に本当にうまく説明できるか心配…

どちらにしても、やはり初めてプログラミングを教える際、生徒の画面を見て確認し、生徒と一緒に仕組みを話して考えることが非常に重要です。
そのため、対面授業の長所①と②、そしてオンライン授業の短所②と③から、対面授業を選択するのがいいことが明白です。

一方で、オンライン授業を対面授業の補助として準備してもいいと思います。
万一、台風などの天候不良や体調不良で通塾が難しい場合、オンライン授業に参加してくださいと伝えれば、保護者からみると何かあった場合でも学びが中断されることがない、安心できる教室だと認識されます。

プログラミング授業をオンラインで開講する場合の注意点

実際に、オンライン授業を実施するときの注意点を把握してください。

① Zoomの設定です。複数の生徒がオンライン授業に参加する場合、ホストは複数の参加者が画面を共有できるように設定してください。これを忘れると、複数の生徒が同時に画面を共有できなくなります。
② 生徒がZoomのミーティングに参加したあと、必ず音声を設定してください。生徒側の音声も確認してもらってください。音声の設定をしてない場合、講師の声が生徒に聞こえません。授業中は質問や説明以外マイクをオフにしてもらいます。
③ 講師は生徒の一部のプログラミング画面しか見られませんので、全体のプログラムをしっかり覚えなければなりません。これはオンライン指導の難しいところです。慣れれば問題はないと思います。どこのプログラムを見てほしいか、どこのプログラムに切り替えてもらうか、講師はプログラムの全体像を頭に入れないとなかなか難しい作業となります。何名かの生徒に同じような内容を教えれば覚えられるようになります。これは対面授業で繰り返し練習する必要があります。
④ 限られている共有画面からの間違い探しは対面授業の場合より難しくなります。講師のプログラミング技術が試されます。また説明も口頭行うことが増えますので、わかりやすい言葉でプログラムの仕組みを伝えなければなりません。対面授業なら紙に書いたり、プログラムをあっちこっち確認しながら説明できますが、オンライン授業になると生徒に指示を出してプログラムや画面を切り替えてもらう必要があります。ただし、これも慣れてくるとできるようになります。まず対面授業で練習する必要があります。
⑤ プログラミング教室で初めてオンライン授業を開講する場合、まず、少人数からやってみてください。例えば、2名までのオンラインクラスを作って教えてみてください。一人ひとりの制作画面を見るために切り替え操作、説明の練習、間違い探し、慣れるまでは少人数に徹してください。慣れれば対面授業と同じく5名ぐらいまでが理想かと思います。

まとめ

まず対面授業で、プログラミング技術とプログラミングを教える技術を磨いてください。
教える余裕ができましたら、オンライン授業にもチャレンジしてみてください。

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中山 涼一

こどもICT教育支援センター センター長

2014年に関西初のこども向けプログラミング教室「未来学校プログラミング教室」を創設。800名以上の指導実績を誇るプログラミング教育のスペシャリスト。

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