高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ④

高校「情報Ⅰ」からみるプログラミングの考え方 ④

プログラミングを学ぶと、データの処理を必ず学ばなければなりません。データの保持やデータの更新など、実際のプログラムではよくあることです。データを保管する場所としては、「変数」が第一選択ですが、データの数が多くなったり、データの構造が複雑になると、やはり「配列」を使わなければなりません。プログラミングの初心者でも、変数はよく理解できます。変数はわかりやすいです。しかし、配列になると一気に難しく感じる生徒が多いようです。少し複雑なゲームやアプリを作りたいなら、配列を使いこなせなければなりません。

高校の「情報I」でも配列の説明と活用があります。今回は、この配列の基礎を確認しましょう。

まず、配列とは、何かを説明します。変数はよく「箱」と例えられます。その箱の中に、データを入れます。その場合、一つの変数には、1つのデータを入れることができます。配列も似たようなものです。ただ、違うのが、配列の場合は、一つの配列には、多くのデータを入れることができます。

私は、変数を「箱」と説明しています。そして、配列を説明するときは、たくさんの変数(小さな「箱」)が入っている大きなダンボールと説明しています。配列は、その大きなダンボールのことです。どれぐらい小さな「箱」が入れられるかというと、理論的には無限に入れられます。実際には、メモリの容量などの制限があります。

下の図を使って説明します。

小さい青色の箱は変数です。全部で7個あります。一つ一つの変数の箱には、それぞれ1つのデータが入っています。今回、この7つの小さな箱は、大きな黒色のダンボールに入れられています。この大きな黒色のダンボールは、「配列」のことです。7つのデータを1つの配列に入れています。では、なぜ配列が必要なのでしょうか?一番の理由はたくさんのデータを一元で管理することができるからです。もちろん、変数のままでもプログラムを作ることができますが、その場合、それぞれの変数に名前をつけなければなりません。今回7個のデータだけならまだいいですが、もしこれが1万件のデータを処理するプログラムなら、1万個の変数を作らなければなりません。大変な作業となります。しかし、配列を使えれば、この問題は簡単に解決できます。なぜなら、配列は1つなので、その配列の中に、7つのデータが入っているか、1万のデータが入っているか、関係なく、配列は1つだけです。配列の名前も1つで済みます。

名前の問題が解決できました。しかし、名前が1つになったので、どのようにデータを取り出すかという問題が発生します。変数なら、それぞれの変数の名前が違うので、変数名で区別できます。配列になると、変数の名前がなくなり、1つの配列の名前になりますので、データを取り出す時、どのデータを取り出すか、分からなくなります。では、どうすればいいでしょうか?

配列から指定データを取り出したい場合、添字と呼ばれる番号を使います。実は、配列の中にデータを入れるとき、自動的にそのデータに番号が振られています。番号は0から順次振ります。最初のデータは0番、次のデータは1番、更に次のデータは2番、のような感じです。注意しなければならないのが、最初のデータが0番ということです。上の図のように、「日」というデータは0番、「月」というデータは1番、「土」というデータは6番となります。配列の4番目のデータを指定すれば、「木」というデータを取得できます。

これが、配列の基本の仕組みです。これをまずしっかり理解する必要があります。配列に関するプログラムは、よくループ文と組み合わせて使います。

今回はPythonの例で見てみます。

実行結果

配列の中の特定のデータを取得したり、配列の中のデータを1件ずつ取得し、処理を与える仕組みはよくあります。配列の基礎をしっかり理解すれば、簡単に活用できるようになります。

次回は、多くの生徒が難しく感じている二次元配列について説明をいたします。

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中山 涼一

こどもICT教育支援センター センター長

2014年に関西初のこども向けプログラミング教室「未来学校プログラミング教室」を創設。800名以上の指導実績を誇るプログラミング教育のスペシャリスト。

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