Scratchならどこまで教えたらいいでしょうか?
Scratchならどこまで教えたらいいでしょうか?
現在講師研修4期生の授業が進行中です。今回ご参加されている先生たちは、プログラミング経験者が多いです。条件分岐や繰り返し、変数や配列などプログラミングの知識はすでに持っていますので、技術的な問題はほとんどありません。しかし、プログラミング技術を持っているからこそ、逆に子どもたちにどこまで教えたらいいかを迷ってしまいます。今回、特に初心者が多いScratchを例にして、講師はどこまで教えたらいいかを説明します。
Scratchは初心者がプログラミングを学ぶツールです。講師も慣れましょう。
Scratchは子どもたちがプログラミングを学ぶために開発されたソフトです。子どもが使いやすいように、一部テキストプログラミングにはない命令を用意してくれたり、テキストプログラミングの場合エラーになるはずの処理をエラーが発生しないように内部でプログラムを組んでくれたり、多くの工夫がされています。一番わかりやすい例としては、変数の名前を指定するとき、数字を使ってもエラーにはなりません。そのため、プログラミング経験がある講師がはじめてScratchを教えるとき、少し違和感を感じると思います。しかし、Scratchを使い慣れると、とても使いやすいツールだと実感できますので、とにかく講師もたくさん使うことが重要です。
プログラミングの基本中の基本を教えましょう。
では、どこまで教えたらいいでしょうか?
Scratchコースに来る生徒はほとんど初心者です。プログラミングを学んだことがありません。もしくは少しScratchを触ったことがある程度です。そのため、基礎を少しずつ教える必要があります。[まなぼクラウド]にて提供しているScratchのコンテンツはすべて基礎中の基礎を学ぶための課題です。高度なプログラミング技術がなくても子どもたちが制作できる課題ばかりです。
講師が教える時も、高度で専門的なプログラミング知識を教えなくてもいいです。しかし、順次、条件分岐、繰り返し、変数、リストというプログラミングの基本概念をしっかり教えましょう。基本の使い方だけで十分です。例えば、変数を教える時。変数は何のものかという概念を教えます。そして、変数はいつ使うか、なぜ使う必要があるか、という基本の使い方を教えます。それ以上のことはまだ教える必要がありません。プログラミング経験者の講師なら、変数の型も格納できる値のサイズも気になります。でも、これらの話はまだ子どもたちに教える必要はありません。仮に子どもたちがとっても大きな数字を変数に入れても、Scratchはエラーにならないように内部処理をしてくれます。今後テキストプログラミングを学び始めるとき、自然に変数の型やサイズやスコープなどの知識を学ぶことになります。初めてプログラミングを学ぶ子どもには、あくまでもプログラミングの基礎概念と基本の使い方だけに絞って教えてください。
基礎を繰り返して活用しましょう。
上に書いてあるように、Scratchコースでは、実際に子どもたちに教えるプログラミングの文法はかなり限られています。だから、プログラミング経験がない方もしっかり学べば、教えることができます。もちろん、教えること自体は簡単ではありません。講師側は文法をどう説明するか、仕組みをどう説明するか、生徒にどのようにヒントを出したらいいか、訓練が必要です。「学びながら教える。教えながら学ぶ。」これがプロのプログラミング講師になる近道です。講師も学び続ける必要があります。
Scratchだけではなく、HTML、JavaScript、Pythonのようなテキストプログラミングを教える時も同じことです。小中学生には難しいこと、専門的すぎる内容を教える必要はありません。どのプログラミング言語も、基礎中の基礎を子どもたちに繰り返し教えればいいです。そして、子どもたちと一緒に基礎内容を活用し、楽しくプログラミングを学びましょう。