経営

募集営業におけるクロージングと追客行動について

募集営業におけるクロージングと追客行動について

教室を運営している先生方からは、「保護者への対面営業が苦手だ」というお悩みをよくお聞きします。

地域の小規模な教室においては、そもそもお問い合わせが毎日のようにあるわけではなく、体験に来てくれるのは月に数人というケースがほとんどです。そんな数少ない来校者を、ぜひ入校に結び付けたいという思いが強くなるのも自然なことです。

そして、そんなプレッシャーから、入校勧誘の最後の決め言葉、いわゆるクロージングがうまくできないという先生が多いようです。

この姿勢自体は、決して間違いではありません。教室運営において本当に大切なのは、生徒の数を集めることではなく、目の前の保護者や生徒ときちんと向き合うことです。

ただし、「大切にする」ことと「遠慮しすぎる」ことは同じではありません。遠慮が行き過ぎると、かえって保護者に不安や警戒心を与えてしまうことがあります。

クロージングを曖昧にしない

ご見学や体験レッスンで来訪した保護者とのトークの最後に、
「ゆっくりとご検討ください」
「やる気になればご連絡ください」
などと、入会の判断を先延ばしにさせていませんか?

そのような先生方は、
・強く勧めて嫌われないだろうか
・営業しすぎると引かれてしまわないだろうか
といった想像を巡らせてしまい、はっきりとした勧誘の言葉を口にできないのだと思います。

先生のお気持ちはよく分かります。慎重に対応してきた検討客に断られてしまうのは、とてもショックなものです。そのことへの恐怖心を持つのは、決して不自然なことではありません。断られることは、教室や自分自身を否定されたように感じてしまい、落ち込むものです。

しかし、その恐れから勧誘の言葉を曖昧にしてしまうことは、結果としてマイナスに働きます。場合によっては、逆に保護者に不信感を抱かせてしまうこともあります。

「当教室としては○○さんは十分に通っていただけると感じています。ご入校されてみてはいかがでしょうか?」
「○○さんはプログラミングをきっと習得できると思います。私も一生懸命指導していきますので、プログラミング学習を一緒に始めてみませんか?」

このような言葉を、まずは先生の口からはっきりと伝えることが重要です。

なぜクロージングが必要なのか

保護者は、教室に来訪した時点で、何らかの入校の提案を受けるだろうということを、ある程度想像しています。「今日はとりあえず話だけ聞きたい」と距離を取る保護者もいますが、来校した以上、一定の勧誘があることは理解しています。

そのため、はっきりと入校を勧める言葉を伝えても、保護者に嫌悪感を持たれることはほとんどありません。むしろ、先生が勧誘の意志を隠そうとすればするほど、「なぜこの教室は入校を勧めてこないのだろう」と不審に思われてしまいます。

もちろん、申込書を無理に書かせたり、長時間にわたって勧誘トークを重ねたりするような行き過ぎた対応は絶対に避けるべきです。しかし、教室に入ってほしいという先生の意志は、短い言葉であっても、きちんと伝えておきたいところです。

クロージングの際には、単に勧誘の意志を示すだけでなく、なぜその子に入学してほしいのか、どのような成長が期待できるのかといった、教室としての見解もあわせて伝えることが大切です。

多くの保護者は、プログラミングを学ばせたいという意志を持って来校しています。しかし、どのような基準で教室を選べばよいのか迷っており、その判断材料を求めています。中には、なかなか決断ができず、先生に思い切って背中を押してもらいたいと期待している保護者も少なくありません。

保護者が最も重視しているのは、「この教室は、うちの子をどう判断しているのか」という点です。子どもがプログラミングに向いていそうか、どのように子どもと接して関わってくれそうなのか、教室側の率直な見解を知りたいと思っています。その見解を示さないまま曖昧に勧誘していては、保護者の不安は解消されません。

クロージングは押し売りではありません。教室としての判断を示したうえで、率直に入校の意志を確認する行為です。断られることを恐れて聞かないよりも、聞いたうえで温度感をすり合わせる方が、結果として双方にとって誠実な対応になります。

入学検討の時期を明確にする

クロージングをきちんと行っても、その場で入校が決まらないことは珍しくありません。その場合は、「一度ご家庭で話し合ってみてください」「お子さんと相談してみてください」と明るく伝え、一旦お帰りいただきましょう。

ただし、検討がだらだらと長引かないよう、判断の区切りもあわせて示しておくことが大切です。「来週末くらいまでに一度お返事をいただけたら助かります」など、目安となる検討期間をお伝えしておくとよいでしょう。

検討後の意志確認について

期限を区切ったうえで検討に入られても、その期限で連絡をいただけない保護者もいらっしゃいます。その場合には、教室側から意志確認の連絡を行う必要があります。

連絡を行う場合、「ご検討状況はいかがですか」といった曖昧な聞き方は避けた方がよいでしょう。こうした問いかけに対しては、「まだ検討しています」という、同じく曖昧な返答が返ってくることがほとんどです。

「現時点では、入会できそうでしょうか。それとも今回は見送るご判断でしょうか」など、YES/NOの二択にて現状の考えを確認することをお勧めします。

もし「今回は見送ります」と言われた場合には、無理に引き止める必要はありません。ただし、「差し支えなければ、その理由を教えていただけますか」と、聞いておくことは大切です。

理由を確認することで、「タイミングの問題」なのか、時間や費用などの「条件の問題」なのか、「教室との相性の問題」なのかが理解できます。それにより、その後も教室側からの追客を続けるべきか、あるいは一度距離を置くべきかを判断することができます。

あわせて、通学制度についての受け取り方も確認しておきましょう。

「月謝や通い方について、無理がありそうでしたか。それとも想定された通りでしたか」と尋ねることで、相手を責めることなく、判断の前提を確認できます。ここで確かめたいのは、保護者の判断の正誤ではなく、こちらの説明が十分に伝わっていたかどうかです。

月謝や通学回数、通い方の条件などは、丁寧に説明したつもりでも、受け取り方に微妙なズレが生じることがあります。もし通学制度についての説明が十分に伝わっておらず、その点が判断に影響していたのであれば、前提を整理したうえで、もう一度検討してもらえる余地が生まれることがあります。

結果として再検討につながらない場合もありますが、教室側として判断の土台を把握できること自体が、大きな収穫です。この確認を丁寧に行うことが、その後の保護者説明の改善にもつながっていきます。

時節の追客について

一度入校を見送られた場合や、その後返事がなかった場合でも、そこで保護者との関係を完全に切る必要はありません。教室への通学の意志は、その後の家庭の状況や時期によって変わることが多いからです。

新学期前や夏休み前、秋、年度末といった生活の節目に、年に数回、さりげなく連絡を入れることも大切です。その際は、判断を求めず、入校のお返事を前提としないことを意識しましょう。近況を伺い、「いつでもお待ちしています」という姿勢を伝えるだけで十分です。

顧客情報の整理

検討者への追客を行うためには、最初のお問い合わせ時や来校時に連絡先などの情報を伺い、顧客情報として整理しておくことが重要です。顧客情報が整っていなければ、その後の関係を丁寧につなぐことはできません。

個人情報は、体系的に管理しましょう。メモ書き程度で管理している先生も多いようですが、紛失による営業機会の逸失や、個人情報漏洩のリスクにつながりかねません。最低限、スプレッドシート(Excelなど)に入力するなどして、リスト化しておくことが大切です。小規模な教室であれば、特別な顧客管理システムは不要です。

整理する際は、次のような情報が一目で分かる状態にしておきます。

・保護者とお子さまの名前
・お子さまの学年
・お子さまの習い事の状況
・連絡先(メールアドレスやLINEなど)
・これまでのやり取りの内容(来校時やその後の会話)

これらを整理しておくだけで、追客は十分に行えます。

おわりに

問い合わせ客や検討者への追客は、プレッシャーもあり、心理的な負荷が高い業務でもあります。そのため、つい後回しにしてしまったり、放置している先生も少なくありません。

そうならないためにも、募集営業に専念する時間を、週に一度、難しければ月に数回でもよいので、あらかじめ確保しておくことをお勧めします。その時間を使って顧客リストを見直し、必要な行動を一つずつ行ってみてください。

いくら秀逸なカリキュラムを用意し、質の高い教室運営を行っていても、そのことが保護者に伝わらなければ意味がありません。先生ご自身の言葉で、教室で学ぶことのメリットを熱く語りかけてください。

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進藤 整是

こどもICT教育支援センター 開業・運営コーディネーター

国内最大級の福祉系資格スクール経営経験20年。講座企画・募集営業・広報・IT化推進・総務などスクール経営の中核業務に精通したスペシャリスト。

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