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情報Ⅰ ポイント整理(8)

情報Ⅰ ポイント整理(8)

この連載は、現在高校で使われている情報Ⅰの教材をベースにし、重要なポイントを整理して5分で読める記事にします。
ITの基本知識として知る必要がある内容がたくさんあります。
また大学共通テストに出やすいポイントを説明いたしますので、テスト対策にもお役立ていただければ幸いです。


第8回目 ネットワークと通信

今回は、ネットワークと通信に関する基本知識の内容となります。
用語の説明が多くなります。単調ですがそれぞれの用語の意味をぜひ覚えてください。
共通テストでそれらの用語の意味を問う問題はないと思いますが、開発などの仕事をする場合には、知っておく必要がある内容です。

ネットワーク

まず、LANとWANの違いを理解しておきましょう。

LANは、学校や企業など比較的限られた区域内のネットワークのことです。WANは、広域なネットワークのことです。
例えば、大阪のネットワークと東京のネットワークを繋ぎたいなら、WANを利用することになります。
LANは自分で構築することができますが、WANはそれぞれの地域に通信設備が必要になりますので、通常、NTTなどの通信事業者の回線を利用します。
そして、わたしたちが言う「インターネット」は世界規模のネットワークのことになります。インターネットを使えば、国と国を繋いでの情報交換も可能となります。

インターネットの利用を契約する場合、プロバイダーという言葉をよく聞きます。
プロバイダーとは、インターネットへの接続を提供する事業者のことです。日本では、ドコモ、ソフトバンク、au、eoなど多くの通信事業者があります。

ネットワーク機器

ネットワークでよく使われる機器を紹介します。

まず、ルーターです。ルーターは異なるネットワークを相互接続し、データを中継する機器です。
家庭からインターネットに接続したい場合、家庭にはルーターを設置します。そのルーターを通して私たちは外部のネットワークに繋ぐことができます。

複数の機器をネットワークに有線で接続する場合には、ハブを使います。
家ではあまり使うことはありませんが、会社や学校などではよく使われます。ハブを使うことで、多くの機器を同じネットワークに同時に参加させることができます。

家にあるルーターからLANケーブルを使ってパソコンに接続する場合もあります。この場合、有線LANといいます。
有線LANのメリットは通信速度が高速で安定していることです。

一方、無線LANもあります。無線LANはWi-Fiともいいます。
ケーブルを使わないので、利用場所の制限がなくなります。無線LANは5GHz帯と2.4GHz帯の電波を使って通信します。また最近では6GHz帯を利用することも増えてきました。一部の家電と同じ周波数の電波を使うので、通信状態が不安定な場合があります。

無線LANは、その便利さから広く使われています。無線LANにアクセスするときには、アクセスポイントが必要です。
家にあるルーターの種類にもよりますが、無線LANアクセスポイントを提供するルーターを使えば、家でWi-Fiを使うことができます。
アクセスするときには、ESSIDという無線のネットワークを識別する文字列とパスワードを端末機器に入力すれば、接続ができます。

現在、多くのレストランやカフェなどの施設では、無料Wi-Fiを提供しています。
その場合、多くの人が同じパスワードで同じネットワークを使うので、自分の通信内容が知らない人に傍受され、情報が盗まれる危険性もあります。
無料Wi-Fiは便利ですが、リスクもあることを忘れないでください。

通信の単位

私たちがインターネットに繋いでいる間には、データのやり取りが行われています。
その時、データの最小転送単位はパケットです。わたしたちのデータは小さなパケットに分けられて、効率よく通信が行われます。

TCP/IPプロトコル

プロトコルとは、ネットワークで通信を行うための約束のことです。普段わたしたちが使っているインターネットはTCP/IPというプロトコルを利用しています。

TCPは、データの正確性を保証するプロトコルです。
送信されているパケットに誤りがある場合、もう一度パケットを送ってもらいます。信頼性が高い通信プロトコルなので、ウェブページやメールなどの文字情報によく利用されます。

IPは、パケットを目的のコンピュータに届けるルートを管理制御するプロトコルです。
IPアドレスという言葉を聞いたことがある人は多いかと思います。IPアドレスは、ネットワーク上の住所とよく言われます。ネットワーク上にあるすべての通信機器にIPアドレスが割り当てられ、その通信機器を特定することができます。IPアドレスがあるからこそ、情報は正しく相手の機器にたどり着くことができるのです。

インターネット上のIPアドレスはグローバルIPアドレスといいます。LAN内のIPアドレスをプライベートIPアドレスといいます。
ちなみに、自分のパソコンのIPアドレスを確認したい場合、ターミナルでipconfigを実行することで確認が可能となります。

IPアドレス(IPv4)は、122.80.154.291のような32ビットの数字の羅列となっています。アクセスするたびにこれらの数字を入力しなければなりません。
しかしこの数字を記憶することは大変困難でもあります。その覚えにくいIPアドレスを、わたしたちがわかりやすい名前(つまり、ドメイン名)に変えてくれるのがDNSサーバーです。例えば、yahoo.co.jpやgoogle.comなどがドメイン名と呼ばれるものです。数字ではなく、ドメイン名でアクセスすることで、通信が容易となります。。

その他のよく使うプロトコル

HTTPは、WEBブラウザとWEBサーバの間でHTMLなどのデータの送受信に使うプロトコルです。
最近ではより安全なHTTPSも普及しています。最後のSはSecurity(セキュリティ)の頭文字Sです。HTTPSは、通信情報が暗号化され、よりセキュリティが高い受送信ができるプロトコルです。

SMTPは、メールの送信に使うプロトコルです。
IMAPとPOPは、メールの受信に使うプロトコルです。

FTPは、ファイルなどの転送に使うプロトコルです。


今回はネットワークと通信を説明しました。

インターネットの利用が不可欠になった今、ネットワークの基本知識を知っておくことが大変重要です。
高校の「情報Ⅰ」で学習するのは、基本的な内容だけですが、開発には、高度なネットワーク知識や、セキュリティ知識が必要です。
ぜひ、少しずつ調べながら、勉強を深めてみてください。

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中山 涼一

こどもICT教育支援センター センター長

2014年に関西初のこども向けプログラミング教室「未来学校プログラミング教室」を創設。800名以上の指導実績を誇るプログラミング教育のスペシャリスト。

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