経営

教室開業時の広報手法について

教室開業時の広報手法について

これから子ども向けプログラミング教室を開業しようと考えている方にとって、最初の課題の一つが「どうやって教室の存在を知ってもらうか?」ではないでしょうか。

その課題に取り組む前に、実際に教室に通うことができるのは、教室の近くに住む子どもだけであるということをまずは認識しておきましょう。

開業当初は資金にも限りがあります。そのため、広範なエリアに向けた広報手段よりも、まずは通学可能な圏内に特化した「地域密着型」の広報手段を徹底していくことが大切です。

オンラインでの広報

(1) 公式サイト

公式サイトは、教室の理念やカリキュラム、雰囲気などをしっかり伝えられる「顔」です。
公式サイトを構築する場合に、地域名を意識したSEO(検索対策)を行えば、「○○市+プログラミング教室」といった検索にも強くなります。

SNSなどの広報手段が全盛ではありますが、公式サイトは保護者が教室選びのどこかの過程で必ず閲覧するツールです。できれば教室オープンの数か月前には、サイトを構築し公開を始めましょう。

教室公式サイトの重要性については、以下のコラムでも詳しく紹介しています。今回は詳細な説明は省略します。
https://iesk.net/column/12250

(2) Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)

Google検索やGoogleマップで教室を探す保護者は非常に多くなっています。
その際に検索結果ページの上部に表示される「Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)」は、地域集客で欠かせないツールです。

無料で登録ができ、教室名・住所・営業時間・写真・公式サイトURL・口コミなどを掲載できます。
特に口コミは信頼獲得において大きな影響力を持ち、口コミをきっかけに来校される方も少なくありません。

写真や投稿を定期的に更新することや、保護者の方に口コミ投稿をお願いすることが運用上の大切なポイントとなります。

(3) 教室紹介ポータルサイト

子ども向けの習いごとを地域ごとに紹介しているポータルサイトが多数存在します。
中にはプログラミング教室だけに特化したポータルサイトもあり、そこには多くのライバル教室が掲載されています。

こういった大手のポータルサイトはSEOに非常に強く、「○○市+プログラミング教室」などの地域検索でも上位に表示されやすいという特徴があります。
新規教室の情報を掲載しておくことで、検索で教室の比較検討をしている保護者に存在を知ってもらえる可能性が高まります。

媒体を選定する際には、実際に「(開業予定の地域名)+プログラミング教室」と検索してみてください。
検索結果で上位に表示されるポータルサイトには、できるだけ情報を掲載しておくことをおすすめします。

(4) ウェブ広告(Google広告など)

短期間で集客をしたい場合には非常に効果的な広報手段です。
広告を出稿する段階で、どのエリアの方に広告を表示させたいのかを指定して配信することができます。
また、一日当たりの上限予算を設定できるため、広告効果を見極めながらの運用が可能です。

出稿にあたっては、専門の事業者に委託する方法もあります。
しかしその場合、事業者の基準で下限予算が設定されていることが多く、教室規模の割に大きな出費となることがあります。
さらに、広告掲載料以外の手数料も発生します。手数料は掲載料の20%という設定がほとんどです。

地域の小規模教室の場合には、オーナー様ご自身で広告運用に取り組んでことをおすすめします。
Google広告などの管理画面では、AIによる運用アドバイスも積極的に行われますので、初心者でも運用に取り組みやすくなっています。

(5) SNS広告(Instagram・Facebook・LINEなど)

SNS広告は、Google広告と同じく地域指定や年齢層、保護者の属性によるターゲティングが可能です。
プログラミング教室を検討するであろう保護者層を想定し、その方々だけに広告を表示できます。

また、写真や動画を使うことで、教室の雰囲気や子どもたちの笑顔を直感的に伝えられることも大きな特徴です。
“広告感”を出しすぎず、リアルな日常や子どもたちの様子を発信すると効果的です。

オフラインでの広報

(6) リーフレット配布(ポスティング)

古くからある手法ですが、地域のご家庭に直接届けられる点で今でも有効です。
ネットをあまり使わない保護者層にも届くのが強みです。

以前は戸別配布といえば新聞折込が中心でした。
しかし新聞購読者が減少している現在では、ポスティング専門の配布業者さまを利用することが主流になってきています。
印刷からポスティングまでをワンストップで請け負ってくれる業者さまも増えており、オーナー様は制作と配布エリアの選定に専念することもできます。

また、オンデマンド印刷でリーフレットを作成し、教室スタッフ自らが地域内で配布を行うという方法もあります。
集客ターゲットとなり得る個人住宅を目視確認しながら配布できるメリットがありますが、近年では集合住宅への配布が難しいケースも多くあります。

リーフレットは生モノです。曖昧な教室告知だけでなく、近日中に開催される体験会やイベントの日程を掲載することが重要です。
教室の存在を知っていただくことと同時に、保護者の行動を喚起できる情報を載せることが大切です。

(7) リーフレット配布(街頭配布)

学校付近で配布する場合は、行事などで保護者の行き来が多い日を選ぶことが大切です。
子どもへの直接の声かけや手渡しは避けてください。
また、学校側や近隣住民から苦情が出るような場合は、直ちに配布を中止することが賢明です。

近隣の店舗や商業施設、イベント会場など、人が集まる場所で配布する方法もあります。
その際には、トラブルや事故を防ぐために、施設の運営者やイベントの主催者から許可を得るなど、事前の手続きを怠らないようにしましょう。
手渡し配布が断られる場合には、リーフレットの掲示やまとまった枚数を設置させていただくことについて交渉してみる方法もあります。

往来の多い公道にて配布を行う場合には、管轄警察署への道路使用許可申請もご検討ください。

地域活動を通じた広報

(8) 地域メディアの活用(地域ポータルサイト・自治体メディア)

自治体運営の地域ポータルサイトや、地域情報誌のウェブ版などは、生活情報を得る場として地域の方々に重要視されています。
広告掲載が格安なメディアも多いので、運営者に掲載の可否や基準について問い合わせをしてみて下さい。

プログラミング体験会など、「地域の教育活動に貢献している」という印象を高められるイベントなどを主催し、周知していくことも効果的です。
教室の宣伝ではなくイベントの告知の場合には、無料で掲載が可能なケースもあります。

(9) 地域メディアの活用(紙媒体での広告)

地域密着型のメディアは減少傾向にありますが、フリーペーパーなど有力な媒体が残っている地域では、ぜひ活用を検討してください。
ネット全盛期の今でも発行が続いている紙媒体なら、信頼性が高く、一定の購読者を確保しているはずです。

通常の広告枠に加え、春期のスクール特集などのコーナーを活用するのも効果的です。
また、記者による教室取材など、記事型の広告企画を組んでいただける場合には、積極的に利用してみて下さい。

事前に見本誌などを精読して、媒体の現況を確認することも怠らないでください。
子どもの教育にふさわしくない広告や記事が他に掲載されていないかなどをチェックし、ターゲットとしている読者層を知っておくことが重要です。

実際の購読者数も予測していく必要があります。
配布方法で「手配り」や「街頭設置」が多い媒体は、公称の発行部数と実際の購読者数に差がある場合もあります。

オンラインとオフラインを組み合わせる

効果的な広報を行うためには、1つの広報手段だけで完結させない、オムニチャネルの意識を持つことが重要です。
オンライン/オフラインを問わず、複数の広報手段を連携させることで、「認知される → 信頼を得る → ご契約いただく」という流れを自然に作ることができます。

例えば、
ポスティングしたチラシにQRコードを入れて公式サイトへ誘導することも可能です。
SNS広告で体験会を告知して、来場者に詳しい教室案内サッシを配布することなども可能です。

「街で見た教室」と「ネットで見た教室」が一致することで、保護者の教室へのより一層深まっていきます。

地域活動への参加

地域の子育てイベントに参加したり、小学校やPTAとのつながりを持つことも、重要な広報活動となります。
そうした積み重ねが、「地域の一員として信頼される教室」につながります。信頼が広がれば、口コミも自然に増えていきます。

地域活動では、教室での指導内容(プログラミングなど)に直接関係のないイベントにも、積極的に参加することが大切です。
「地域の子どもたちを育てる場所」として認識されることこそ、長く愛される教室を築くために最も重要なポイントとなります。

まとめ

プログラミング教室の広報設計では、「広く浅く知らせる」よりも「近くに深く伝える」ことが成功の鍵です。
開業の準備を進める今こそ、地域とともに歩む広報設計をぜひ考えてみてください。

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進藤 整是

こどもICT教育支援センター 開業・運営コーディネーター

国内最大級の福祉系資格スクール経営経験20年。講座企画・募集営業・広報・IT化推進・総務などスクール経営の中核業務に精通したスペシャリスト。

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