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情報Ⅰ ポイント整理(7)

情報Ⅰ ポイント整理(7)

この連載は、現在高校で使われている情報Ⅰの教材をベースにし、重要なポイントを整理して5分で読める記事にします。
ITの基本知識として知る必要がある内容がたくさんあります。
また大学共通テストに出やすいポイントを説明いたしますので、テスト対策にもお役立ていただければ幸いです。


第7回目 動画データの計算

前回、画像のデータ量の計算を学びました。今回は動画のデータ量の計算を学びましょう。
動画のデータ量を計算する場合には、前回学んだ画像のデータ量の計算を利用します。なぜなら、動画はたくさんの画像の集まりだからです。1枚1枚の画像の容量を計算して合計すると、動画の容量になります。では、具体的に見ていきましょう。

フレームとフレームレート

フレームとは、動画を構成する1枚1枚の静止画像のことです。
昔。アニメを制作するときには、1枚1枚の絵はすべて人の手で描かれていました。いまは、パソコンを使って最初の絵と最後の絵をかければ、その間の絵はパソコンが自動的に生成してくれます。しかし、本質は変わりません。動画は、1枚1枚の静止画で出来上がっています。その1枚1枚の静止画のことをフレームといいます。

そして、昔のアニメは1秒間に15枚の静止画を使っていました。最近は24枚の絵を使うことが多いようです。1秒間に24枚の静止画が表示されると、目の残像と脳の処理によって人間の目にはものや人が動いているように見えます。激しい戦闘のシーンなら、1秒間に60枚の静止画を使うこともあります。特に今のゲームなら、細かい描写が多いので、1秒間60枚または120枚の静止画を使っています。この1秒間あたりのフレーム数をフレームレートといいます。単位はfpsです。Frame Per Secondの頭文字です。フレームレートの数値が大きくなると、より滑らかな動きを表現できます。

ちなみに、テレビで放送されている動画は30fpsが多いです。デジカメで撮った動画も1秒間に30フレームが多いです。最近のiPhoneなどのスマホは1秒間に60フレームのきれいな動画を撮ることができます。

フレームレートを高くすれば、よりきれいな映像を提供できますが、その反面、1秒間の静止画数が増えるので、動画ファイルの容量も大きくなります。単純計算で、60fpsの動画の容量は30fpsの動画の2倍になります。そのため、動画は圧縮して使うことが多いです。

動画のデータ量の計算

動画は静止画の集まりということがわかりましたので、動画の容量を計算してみましょう。計算の公式はこれです。

動画のデータ量 = 1フレームのデータ量 ✕ フレームレート ✕ 動画の秒数

1フレームのデータ量は前回説明した画像のデータ量の計算を参考にしてください。

例えば、5分間の24ビットのFHD動画のデータ量を計算します。フレームレートは30fpsです。

FHDの場合は、1920 × 1080 = 2,073,600 の画素数があります。
24ビットなので、1つの画素数に3つの色データがあります。つまり、3バイトです。
2,073,600 画素数 × 3バイト = 6,220,800バイト

単位をメガバイト(MB)に換算します。
6,220,800バイト ÷ 1024 = 6,075KB(キロバイト)
6,075キロバイト ÷ 1024 = 5.9326MB(メガバイト)

これは1フレームのデータ量です。
今回の計算では、30fpsなので、1秒間に30フレームがあります。
1秒間の動画容量 = 5.9326MB × 30fps = 177.978MB

さらに、5分間の動画なので、全部で300秒になります。
177.978MB/秒 × 300秒 = 53393.4MB(メガバイト)
数値が大きいので、ギガバイト(GB)に換算します。

53393.4MB ÷ 1024 = 52.142GB(ギガバイト)

以上で計算が終了しました。
5分間のFHD動画の容量はおよそ52GBとなります。
計算してみれば、5分間の動画はかなり容量が大きいということがわかります。

動画の圧縮

動画容量は膨大になるので、圧縮は不可欠になります。情報Ⅰでは、「差分圧縮」が紹介されています。

差分圧縮とは、連続する2枚のフレーム画像を比較し、変化した部分だけを保存する圧縮方法です。すべての画像のデータを保存するよりかなり容量が少なくなります。

MPEGやH.264の圧縮方式は上記の差分圧縮です。
動画の容量が小さくなるので、インターネット上の動画を制作するときよく利用されます。今よく使われているMP4動画はこのH.264方式の差分圧縮を使っています。

動画ファイルの形式

動画ファイルにもいろんな形式があります。常用されるものを覚えておいてください。

AVI:
圧縮率が低いので、動画の容量が大きいです。

MPEG:
MPEG-1で動画を圧縮します。圧縮率も画質もあまりよくありません。

MP4:
MPEG-4で動画を圧縮します。圧縮率と画質が高いです。いまインターネット上で最も多く使われている動画形式です。

MOV:
Apple社が開発した動画ファイル形式です。画質が高いですが、データ容量が大きめです。

WMV:
マイクロソフト社が開発した動画ファイル形式です。デジタル著作権の管理機能に対応しているのが特徴です。高画質を維持しながら圧縮率が高いです。


今回は動画のフレームレートと動画のデータ量の計算を説明しました。
テストではそのまま計算問題が出ることが少ないですが、問題の一部として出題される可能性があります。
画像と動画の計算方法を両方理解しておいてください。

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中山 涼一

こどもICT教育支援センター センター長

2014年に関西初のこども向けプログラミング教室「未来学校プログラミング教室」を創設。800名以上の指導実績を誇るプログラミング教育のスペシャリスト。

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