教室広報におけるAEO対策
教室広報におけるAEO対策
「AEO」という言葉をお聞きになられたことがありますでしょうか。
Answer Engine Optimization の略となります。
教室のweb広報の戦略として、「SEO」や「MEO」については、何度かこのコラムや他のコンテンツでも、書いてきました。
・「SEO」とは
Search Engine Optimization の略となります。
Google等の検索エンジンにおいて、オーガニック検索(ユーザーが検索ワードを入れて検索する手法)での検索結果での上位表示を目指すための手法です。
・「MEO」とは
Map Engine Optimization の略となります。
Googleマップでの検索結果で教室の情報を上位に表示させ、保護者の来訪や認知拡大につなげるための手法です。
それら従来のwebマーケティングの戦略に加えて、これからの時代においては、新たに「AEO」対策を意識していく必要があります。
「AEO」対策とは、ChatGPTやGoogle Geminiといった生成AIを用いて情報収集をする保護者のために実施していく施策のことです。
AIによる回答文の中で、自らの教室が紹介される確率を上げていくことを目的としています。
検索行動の変化
おおよそ1年前までは、保護者が子どもの習い事を探す際の王道は「キーワード検索」でした。
例えば「●●●(地域名)+プログラミング教室+小学生」など、単語を主体とするキーワードを検索窓に入力し、表示される検索結果から気になる教室を順に精査していく。そのような手法が一般的でした。
しかし生成AIの普及により、保護者が教室をリサーチする手法も徐々に変化しつつあります。
検索エンジンでのキーワード検索を補完、あるいは代替する形で、生成AIに対して直接質問を投げかける行動が、徐々に拡大していきつつあります。
以下の図は、生成AIを利用した情報収集の一例です。
ここでは、Google Geminiを用いて、「大阪市都島区で、中学生に対して、将来役に立つプログラミングスキルを教えてくれそうな教室は?」という問いかけをしてみました。

この質問に対する回答において、こどもICT教育支援センターのモデル教室である「未来学校プログラミング教室」が、冒頭にて紹介されていることが分かります。
この例のように、生成AIでの情報リサーチにおいて、先生方の教室がきっちりと紹介されていくための施策が、今後重要となってまいります。
「AEO」対策のメリット
従来のSEO施策、すなわちオーガニック検索(自然検索)で上位表示を目指すためには、様々な工夫が必要でした。
検索対象となるキーワードを適宜ページに織り込むなどの基本的施策はもちろんのこと、日々サイトのページ数や情報量を増やし続けるための努力も必要でした。
そのため、専任の広報担当が所属するような大手教室と比べ、地域の小教室はどうしても苦戦を強いられてしまう傾向がありました。
しかし、生成AI検索の普及は、資本力のある大手チェーンに地域の小さな教室が対抗するためのチャンスになり得るとも言われています。
生成AIは、従来求められていた「情報の網羅性」だけでなく、「記述の具体性や親和性」をより一層重視する傾向があるようです。
保護者が必要とする情報を教室サイト内で体系的に整備し、掲載しておくことで、教室情報が保護者の目に留まる機会が増えてくるであろうと想定されています。
「AEO」対策の具体例
昨年後半から私自身も様々なセミナーに参加することで情報収集を行い、また生成AI相手にも何度も問いかけてみることで、AEO対策で取り組むべきことが徐々に理解できるようになりました。
まだ確証が無い情報も多くありますが、教室サイトの運営にて取り組んでいけばいいのかな?と思える施策を、整理して紹介させていただきます。
チェックポイント1:情報の具体化
生成AIは、サイトのデザインや雰囲気よりも、客観的な「文字データ」を読み取ります。そのことを意識しておきたいものです。
・コース情報は「画像」ではなく「テキスト」で記載する
抽象的な表現をしている部分があれば、より具体的な数値に書き換えることで、曖昧さを排することができます。
×「低学年から」 → ○「小学1年生から3年生まで」
×「駅近」 → ○「□□駅から徒歩5分」
×「間もなく開講」 → ○「202X年○月から開講」
・固有名詞をきちんと使う
×「将来役に立つプログラミングを学びます」
→ ○「ScratchやHTML、JavaScript、Pythonを学ぶことができます」
このように明記しておくことで、特定のツールを求める保護者のニーズとあなたの教室を結びつける精度が劇的に高まります。
チェックポイント2:対話形式での掲載
AIは、インターネット上の「問いと答え」のパターンを学習しています。
「問い」が投げかけられた時、サイト内に明確な「答え」が掲載されていると、その文章を回答に引用してくれる確率が高まるようです。
これを実現させるために最も簡単な手法は、サイト内に「よくある質問(FAQ)」のコーナーを設置しておくことです。
・質問を「話し言葉」にする/回答は結論から述べる
Q:パソコンを触ったことがない子でも、授業についていけますか?
A:はい、ついていけます。受講生の約80%がパソコン操作未経験の状態からスタートしています。
・回答の中に保護者が検索に用いるであろう地名を含める
Q:自転車で通えますか?
A:はい、通えます。〇〇小学校や△△小学校などの校区から通うお子さんもいます。
Q:電車で通えますか?
A:はい、通えます。〇〇駅から□□メートル(徒歩△分)に教室があります。
・教室の「独自性」を答えに組み込む
強みを言語化しておくことで、生成AIから保護者への回答において、教室の特長として紹介されるケースが増えます。
Q:他の教室との違いは?
A:最大4名の完全少人数制による個別指導です。
A:JavaScript や Python といったテキスト言語も学習できます。
A:講師は現役のプログラマーです。
チェックポイント3:「専門性」を数字で示す
生成AIも、従来の検索エンジンと同じく、E-E-A-Tを重視しているようです。
E-E-A-T(イーイーエーティー)とは、Googleが重視する4つの要素「経験(Experience)・専門性(Expertise)・権威性(Authoritativeness)・信頼性(Trust)」を指します。
E-E-A-Tを高めるためには、先生のご経歴などを、AIが認識できる指標に変換して提示する必要があります。
・プロフィールに「数字」を明記する
「プログラミングが得意です」だけでなく、「●●言語によるプログラミング業務歴15年」「延べ200名以上の子どもたちの指導実績」など、具体的に記載しましょう。
・資格や認定を明示しているか
「ITパスポート」「基本情報技術者試験」など、先生が所有する資格があれば表記しておきましょう。AIが「この発信者はプロである」と判断する重要な材料になります。
・指導内容をリアルに記載する
「JavaScriptで用いる変数を指導しました」など、日々の指導内容を具体的にコラム等に掲載し、専門性を示しておきましょう。
また、「今も活動実態がある教室である」という鮮度を伝えることもAEO対策では必要なようです。これはSEO対策と同じですね。
チェックポイント4:「地域性」が示されているか
地域密着型の教室にとって、教室の所在地を生成AIに伝えておくことも重要です。特定のエリアで教室を探している保護者に情報を伝えることに役立ちます。
・近隣の学校名を記述しているか
通学エリア内にあると思われる学校名を具体的に列挙しておきましょう。地域検索におけるAIの信頼度は飛躍的に向上します。
・近隣のランドマークを記述しているか
「〇〇スーパー●●店の向かい」「〇〇公園から徒歩2分」といった情報は、AIが地図データと照合する際に重要視するそうです。
・Googleマップの情報と完全に一致しているか
公式サイト、Googleマップ、SNSなどに掲載する住所は、表記を統一することが理想的です。AIは「1丁目2番3号」と「1-2-3」を同一地点と推測する能力は有しているようですが、表記が完全に一致している方がデータの紐付けエラーを防ぐことができるそうです。
チェックポイント5:成果の言語化
生成AIは、どの教室のサイトにもある「論理的思考が身につく」といった抽象的な定型文を、価値の低い情報と判断するそうです。その一方で、生徒の活動実績を具体的に記すことが重要なようです。
以下は、Geminiに示していただいた記述改善の具体例です。
改善例)
「算数に強くなる」
→「算数の文章題を読み飛ばしがちだった4年生の生徒が、プログラミングの『条件分岐』を学ぶ中で、情報を順序立てて整理する癖がつきました。」
「作品を紹介します」
→「この作品は、変数を使って敵の出現パターンを3種類用意した点がこだわりです。単調な動きにならないよう、条件分岐を組み合わせて自力でデバッグ(修正)を繰り返して完成させました。」
チェックポイント6:AIによる評価の活用
・サイトの診断
自校のサイトが本当に最適化されているかを知るためには、評価者であるAI(Gemini等)に逆に質問してみると良いと思います。
サイトの記述内容や記述方法だけでなく、多くの改善点を教えてくれます。
ただし、先生から生成AIに質問した場合には、プラットフォームごとに回答内容に大きな違いがあります。
また同様の質問を数回行った場合でも、生成AIからの回答が、都度異なってしまうようなブレもまだまだあります。
ですので、過度に生成AIからの助言を聞き入れようとし過ぎた場合には、一体どのように改修すべきなのかが分からなくなり、方向性を見失うこともあります。
サイト改修の方向性に完璧な正解はありません。ある程度の改善で留めておくという割り切りも必要です。
改善に終わりはありませんが、AIとの対話を通じて「自校の情報が正しく抽出されているか」を定期的に確認するレベルから始めるのが良いでしょう。
まだ生成AIも完全に成熟はしていませんので、間違った情報を持っていたり、他教室と先生の教室を混同してしまっている事例なども見つかるはずです。
Googleにおける「AIモード」の採用
2025年頃より、Googleの検索結果画面に大きな変化が生じているのにお気づきでしょうか。
これまでの検索結果画面は、最上部の「スポンサー広告」と、その下に並ぶ「オーガニック検索(通常の検索結果)」という2つの要素で構成されていました。
しかし現在は、これらに加えて、AIがWeb上の情報を要約して回答する「AI Overviews(AIによる概要)」が表示されるようになっています。

この「AI Overviews」は、すべての検索結果において表示されるわけではありませんが、その頻度は着実に増えています。
特に「〇〇でおすすめの教室は?」「中学生が学ぶべきスキルは?」といったような、ユーザーがアドバイスを求めている検索時においては、AIが回答を生成する傾向が強まっています。
Googleが、今後「AIによる回答」を検索の主役へと引き上げていくことは確実かと思われます。
AIに正しく情報を引用してもらうための「AEO対策」は、もはや避けては通れない、広報の最優先事項となりつつあることもご認識ください。
おわりに
ここまででお気づきになられたかも知れませんが、実はAEO対策は、SEO対策と似ている側面もあります。
実際に、あるSEO会社が行った検証においては、SEO施策での上位サイトに記載されている内容が、AIでの回答に引用されている確率も高いとのことです。
感覚的には、従来の鉄板のSEO対策を行いつつ、記述方法を生成AIが好む方向性(上記のチェックポイントの通り)に変換していく。当面は、そんなサイト運用方法が適切なのでは?と考えています。
曖昧な記述を繰り返すのではなく、誰が読んでも必要な情報が正確にサイト内に網羅されていること。
そのような誠実なサイト作りが、これからの時代においても、より重要になってまいります。
